月夜の狼亭

TRPG活動に関してのあれこれを書き残すための場。SW2.5自キャンペーン「300年目の英雄譚」に関して中心となります。

SW2.5キャンペーン_七葉GM『魔導死骸区シリーズ』感想(第0話~第2話)

ここ最近、卓に関する感想が書けていなかったので、きっちりとまとめておきましょう。

タイトル通り、七葉さんGMで開催している『魔導死骸区シリーズ』その第0話から第2話までを振り返り。

実のところ、SW2.0、SW2.5を通してPLとしてCPに参加したことが無かった私。だからめっちゃわくわくなんだぞ!!初の体験に、胸が期待で膨らみます。

因みに、シナリオ内容をがっつり記載しているので、ネタバレが嫌な人は見ないことをお勧めします。

なお、この感想を書いている時点ですでに第5話、最終回が完了しています。今にして振り返ってみると、あちこちに伏線が張られていて、よく出来てるんだこれが…!
魔導死骸区に生きた冒険者たちの、これまでの戦いと、想いと、選択を振り返っていきます……

 

 

 まずは今回のCPを共にする、心強い仲間たちを紹介しましょう。

 

無双の連撃で敵を屠る狼の姫、リカントの少女"レン"

 https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=GSP6Rp

グラップラーをメインの技能とした、両手利きによる連撃主体の攻撃的なアタッカービルド。狼のリカントで、かわいらしい耳と尻尾が特徴的な若干12歳の少女です。
もともと魔導死骸区の生まれではなく、リカントの集落で生まれ育った彼女。大勢の兄弟に囲まれ、穏やかに過ごしていたもののある時、「子ども扱いされること」が原因で家族と喧嘩してしまい、家出をしてしまいます。

しかし、彼女が再び家族に会うことはありませんでした。

レンが村を出たのち、リカント達の集落は"獣人狩り"にあい、壊滅していたのです。天涯孤独となった少女は、頼るあてもなく彷徨い、いつしか魔導死骸区のスラムへと流れつきます。命尽きる直前、後述する"セシリー"と"ナザラ"に拾われ、3人組で行動するようになったのです。

うわぁお、重い設定ですね。たった一つの選択で幸か不幸か生き残ってしまった、狼少女。とても大好物です。PLははやみさん。

 

スラムに輝く『英雄を目指す』神官少女、"セシリー"

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=MNokpT

奈落の盾神イーヴを信仰する、心優しき人間の神官少女。荒み切ったスラムと魔導死骸区では珍しいほどに明るく快活とした14歳の少女です。
セシリーはもともと、魔導死骸区で盗賊の頭の娘でした。しかし、親からはそれといった愛情をうけることはありませんでした。

6歳になった時、土砂降りの夜に冒険者たちに父を殺されてしまいます。あまりにも大きくなった盗賊の一味は、とうとう冒険者に討伐を依頼されるほどの規模となっていたのです。

捨てられ、行く宛を失い、生きる希望すらも失いかけたその時、魔導死骸区において最も強い勢力を持つ"盗賊ギルド"のメンバーであるリオルというリカントの青年に拾われ、命を救われます。此れを機に、彼女は愛情を知り、神の声を聴くことのできる、神官となったのです。

スラムで生まれ、育ち、絶望から愛を知り深淵から帰ってきた少女神官。素晴らしい…
PLはベーゼンさん。

 

狙い定めて放たれる矢は、的確に敵を射抜く。エルフの射手"ナザラ"

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=wgJ2oS

どこかひねくれた様子のエルフの射手にして、我らが参謀ポジションとなった12歳の少年。シューターをメイン技能とした射手ビルドのキャラクターです。
ナザラもまた、魔導死骸区の生まれではありませんでした。もともとはハ―ヴェス王国にほど近い、エルレンフェルニェというエルフの里に棲む一族でした。天才的な調香師の一族で、ハ―ヴェス王国の貴族お抱えの一族だったそうです。

しかし、あるとき一族に穢れを受けた子、"ナイトメア"が生まれ落ちてしまいます。これを知った貴族の一部が、アズメンゼル一族を糾弾し、まるで罪人のように扱う事件が起きます。

アズメンゼル一族は離散し、ナザラもまた里から追放されふんばり剣溝近くの平原へと打ち捨てられてしまいます。その後、流れ流れて魔導死骸区へたどり着いた彼は、今のナザラとなってスラムで生活をすることとなります。

なんとも絶望感溢れる過去……ふんわりとした、しかし濃厚な闇の香りを感じます。PLはじゃっくさん。

 

過去を失い、今生きる理由を探す。記憶喪失のティエンス"アレク"

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=Tu3H1C

目が覚めると、そこは見知らぬ土地。見知らぬ人々。持っていたのは古びた耳飾りだけ…… ちょっと再起動に失敗したティエンスのファイター、アレクです。
過去は空白で埋まり、その過去を知るために今を生きる彼は、目覚めた魔導死骸区でレン、セシリー、ナザラの3人に拾われます。素性も知らぬ彼を受け入れてくれた3人とで、"夜露草"とチームを発足し、それ以降スラムを中心に活躍していくこととなります。なお、年齢は17歳と一番年上ですが、記憶がないため扱いは一番下っ端です。

今回のキャラクターはCPで過去が燃やしやすいように、特に深くは設定せずのスタートとなりました。さてさてこの子はどう生きていくのか… PLは私とたけとなります。

 

  •  第0話「つる草屋敷の怪物」

◆ざっくり振り返り

 第零話では、PC達が初めて"冒険者"としての稼業に手を出すお話なんですよね。魔導死骸区、スラムで生きる子どもたち。彼らが今日生きるための糧を得るため、危ない橋を渡り始める、その第一歩を歩み始めます。

「危険だが儲かる仕事がある」ときいて、我ら4人『夜露草』のメンバーが、酒場『箒とチリトリ亭』へと向かいます。このときは新たな依頼に胸をときめかせ、すこし"冒険者"という肩書に憧れている、良くも悪くも純真な子ども達って感じでしたが、第2話を終え、いろいろと冒険者であることの"リスク"というものを理解し始めた今から振り返ると、また違った風に見えるのが面白い……

酒場のマスターから提示された依頼は、お屋敷の除草(モンスター討伐)という内容。駆け出しにはピッタリ!と思っていたのもつかの間、なんと屋敷の2階では屋敷の主である学者が死亡しているとのこと。無茶苦茶不穏じゃねーか…!!

とはいえお金が欲しい冒険者一行は依頼を受けて、そのつる草に覆われた「つる草屋敷」へと向かいます。個人的なツボなのですが、酒場で依頼を受け、現地まで移動するっていうこの流れが割と好きなんですよね……酒場で酒や食事を飲みかわしながら、ああだこうだと依頼を物色する。そういうなんというか、「どこにでもいそうな冒険者感」というのは結構好みです。大好き。

屋敷の入り口には蠢く蔦。近づくと襲い掛かってくるという恐ろしいツタでしたが、正面から強引に突破!このツタが割と強く、自キャラであるアレクは5点ある防護点の上から7点もダメージをうける。つよいなこのツタ!!

屋敷の中を物色しつつ、問題の2階へ上がるとすでに死亡している学者の姿が。大量の蔦に絡められており、案の定近づけば襲い掛かってきます。というわけで殴り合いのお時間だ!

敵はスチームポッド。そしてダンシングソーンが2体と植物系エネミーが登場。全然話変わるのですが、植物系ってなかなか出す機会がなく、自分は割と持て余していたりします。屋外ダンジョンとかなら出せるけど、なんとなく動物系を出しちゃうんですよね。能動的に動けるからかしら?

なお、この戦闘では魔物知識判定に失敗して何なのかよくわからずじまい…序盤あるあるですね。しかし先制判定は勝利!無事にPC先制となりました。

ここでの戦闘は、魔物知識判定こそ見抜けぬものの、出目がいいこともあり(敵の出目が控えめだったのもあるが)割と善戦。と思いきや、ここから敵の猛攻が始まります。前線で共に戦うレンに、スチームポッドが攻撃をHIT!「◯痛恨撃」の効果も合わさり、一気に残存HP3点まで減少!どよめくPL、結構ぎりぎりなバトルで緊張感が走るものの、この後レン&アレクの前衛コンビでなんとか封じ込め戦闘終了!

序盤はこの、まだ人な感じがいいですね!やっぱり最初期の戦闘は、出目勝負になりがちなので、緊張感が違う……とても楽しい!

 

なお、このエネミーたちは2019年の10月ごろに発売された新サプリメント「エピックトレジャリー」のトレジャーポイントが適応されており、結構なお宝を隠し持っていた模様。こういうトレジャーハントできるのも新しい楽しみの一つになるので、まだエピックトレジャリーをお持ちでない方は、購入してはいかがでしょうか?(宣伝)

【エピックトレジャリー KADOKAWA公式】

 https://www.kadokawa.co.jp/product/321906000805/

 

さて、いったん体力と魔力を補充し、再度探索を続行。最初の探索時点で見つけていた、地下室へと進みます。階段を下り、下り……なにやら大きな扉の前へとたどり着く一行でしたが、ここで落とし穴トラップ!! 扉の前の地面が開き、落とし穴…しかも槍が設置されている!

先頭を歩いていたレンが罠にはまりますが、なんとか受け身判定と防護点でダメージを和らげることに成功。後にわかりましたが、20点のダメージが発生していたという。受け身の取れる斥候が前を歩いていてくれて、本当によかった……

奥の部屋へと突撃すると、大きな空間には床一面に魔法陣が書かれ、壁の棚には怪しげな研究資材や実験用具……なにより目を引くのは、奥に安置された檻で、檻の中の鉢植えから大量の蔦が伸び、その根元にはぐったりとした様子の女性の姿が。わぁい、とっても怪しい部屋だいすき!こういう明らかに魔術の行われた部屋があると、本棚や手記を探したくなるのは私だけですかね?(CoC的発想)《図書館》で判定だ!

倒れている女性はメリアの女性のようで、無数に伸びたツタはその女性から養分をちゅっちゅしていたようです。えっちじつにけしからん植物ですね!

というわけで、女性を助けるため戦闘開始。今度の魔物知識は成功し、あいてはブラッディペダルの変異版だと理解できます。
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=Z6ZO5H
こういう、特定の種族にのみ特攻(?)を持ったエネミーというのも、なかなか味があってよいですね……私もいずれ、メリアミスルトゥみたいなやつを出してみたいです。

今回の戦闘では、珍しくアレクが平目先制判定で6ゾロを出し、相手の達成値を上回る活躍を見せます。まさかの奪取にPLが一番驚いた。

戦闘の1R目は、ナザラ、レンのダメージが回転!圧倒的な火力を見せ付け、一気にHPを削り取る。レンは単独で、3部位あるツタの内1部位を速攻で破壊! グラップラーの連撃は恐ろしくも頼もしい……
アレクもナザラの攻撃に続き、削られていた残りの蔦を撃破! ツタは一気に残り1部位へ。これは余裕か?

と思っていたところ、ここからツタの逆襲が始まります。ツタはレンに向かって伸び、勢いよく絡め取る!やっぱ鉄くせぇ鎧の男よりも、かわいい獣耳幼女を襲うんですね、わかります。わかりみが沼。(なおランダムターゲットなので作為的ではない)

そしてこのツタ、ちょっと興奮しちゃったのかダメージダイスで6ゾロをたたき出し、脅威の19点をたたき出す! HPが17しかないレンちゃんは残りHP1点まで削られ一気にピンチに。こうしてみると、防具習熟って偉大ですね…

しかし、PC達も負けじと反撃。その後のラウンドで残るツタを撃破!この間も倒れているメリア女性はちゅっちゅっされつづけ、徐々に顔色が怪しくなっている模様。いいぞ!もっとやれ!!メリアの女性に回復を差し込みつつ、のこる本体を叩き潰しPC達は戦闘を終えるのでした。

 助け出されたメリア女性は、ちょっと様子がおかしいものの無事(?)な様子。いや、ツタに2,3日もちゅっちゅされていて無事なわけが[検閲済み]

黄色い薔薇の花を咲かせたメリアの女性──────「アウレリア」を助け出し、冒険者たちは貴重そうな研究データなども回収して屋敷を後にします。なお研究データはこんなことが書いてありました。

 

[残されていた研究資料]
ハーヴェス時代の非人道的な人体実験の記録、融合実験
ここで行っていたメリアミスルトゥの研究
メリアの被検体の実験データ
被検体のメリアは特異な回復力を持っている
そのメリアの生気をメリアミスルトゥにすこしずつ吸わせる実験
"回復力"をもつ生物を作ろうとしている
そのほかにも普通に使える薬の研究とかもある

 

おほぉ…良い、実にいい研究を成されていた。我々は実に惜しい科学者を失った…人類の損失ですね。ふと、魔動機文明時代は、こういう研究も多くなされていたのかと考えると、いろいろシナリオフックになって楽しいものです。そこから産み落とされるシナリオは滅茶苦茶闇深そうですが。
実際、ルーンフォークの成り立ちなども、こういった非人道的な経緯を経ているのではないかとか、2.5で新しく登場した「ディアボロ」などの種族も、魔神と掛け合わせてできた異形の存在であるとか考えだすと、夜が更けて朝になるわね…?

 

そんな話はさておき。
なんとか敵を打ち倒し、研究成果など貴重そうなものを改修して酒場に戻り、待望の報酬タイム! なんとおひとり2705Gという、初の依頼にしては大盤振る舞いな報酬を得ることに成功します。さらには、盗賊ギルドの頭の娘、『"リトル・レディ"ミレーネ』との縁も得て、今後の冒険者生活の基盤を築きます。命を懸けて探索した甲斐がありましたね!

 

◆セッションを通じて感じたこと

初のCP、初の探索、初の戦闘と初尽くしの第0回目。同卓したPLさん(はやみさん、じゃっくさん、ベーゼンさん)とは和気あいあいと進めれたかな? といっても、普段自CPをやっているメンバーなので、非常に円滑に進めることができました。
何度か七葉さんの卓に参加させていただいて思うのですが、ものすごく処理が早いんですよね! セッションの進みが円滑で、とてもテンポよく進むのでPLとしてもサクサクできてとてもよかったです。
戦闘は割と出目バトルでしたが、非常に接戦で盛り上がりに盛り上がり、そういった調整力を合わせてGM力を感じ取りました……!
シナリオとしてもしっかりとされていて、GMの描写からすっと魔導死骸区のイメージに入り、やや癖のあるNPC達や、すこし影を落としたスラムと頭にすっと浮かぶ作りになっているのが素晴らしい……

自PCのアレク君。実は第2話終了時点でも若干キャラクターをつかめ切れていません。思い返せば、「記憶がない」「自分の意志が弱い(薄いともいえる)」という系のキャラはあまり操作したことが無かったような気がします。
第0話の時点でも、他のPC達との距離感をつかめ切れず、若干の距離を置いて接しているような状態でしたが、さて、彼は今後どう落ち着くのでしょうね……

 

そしてここから、さらに第1話へと続いていきます。

  •  第1話「魔動死骸区に奈落の魔域がたくさん発生する話」

◆ざっくり振り返り

 第1話では、突如スラムのあちこちに湧き始めた「奈落の魔域」と、その裏で暗躍する者たちが描かれたお話となります。奈落の魔域、いいですよね。大好物です。

 

さて、このスラムには当然様々な組織がおり、様々な利権や権力がぶつかり、ひしめき合いながらも危ない均衡を保っている地域のようで、PC達もその存在は認識しているようです。で、今回はこの組織に属しているとあるNPC、ヤマネコのリカントである『リオル』という男性が、最近なかなか姿を現さない……というところからお話が始まります。

このリオルさん、すっごくかっこいいんですよね…白の毛並みで、左耳が少し欠けた盗賊ギルドのメンバーです。麻薬を嫌っているようで、どうやら麻薬流通派とは対立関係にあるらしい。もしかしたら、過去に大切な人物を麻薬とかで失ってるのか、麻薬とかでどんどん壊れていく人々を見たりしているのかもしれませんね…
また、時折食料や雑誌などをもってスラム街に現れてはそれを置いていき、スラムの孤児たちに食べさせているというね……もうエモっ、好き!!!!
こういう、なんというか気取らない兄貴分みたいなキャラクターは憧れます。別に俺はお前らのこと興味ない~みたいな態度をとりつつも、実はめっちゃ気にかけてて何かあったらすぐに駆け付けるみたいなね。もう最の高ですよ。猫耳もよし。

 

ふぅ……

 

まぁそんな彼が、ここ10日ほど顔を出さない。という話があり、回想シーンに移るのでした。
回想シーンはリオルさんに最後に合ったシーンのことで、その日もいつもと同じように食料や雑誌などを持ってきてくれるリオルさん。なんやかんやで世話焼きな兄貴気質なのが良い。PC達のことを心配しつつ、『グレン』なる男には近づかないように、と忠告してくれます。

その男、どうやら麻薬を流通させたいらしく、独自のルートから仕入れた麻薬を流し、盗賊ギルドの幹部に取り入ろうとしているとのこと。しかし反麻薬派の幹部によって、追い返されたようです。なかなか闇の世界というのも大変そう。仁義をとるか、利益をとるか。間に挟まれる下っ端たちが何人も死んでそうですね。とてもいいと思います(とてもいい笑顔)

そんな邂逅から10日後、リオルさん全然来ないねみたいな空気が流れる中、『箒とチリトリ亭』から呼び出しを受けます。どうやら"リトル・レディ"が私たちを呼んだ模様。あぁ~~盗賊ギルドの頭の娘との縁があると依頼が入ってきて安泰!!優勝!!

向かってみると、"リトル・レディ"ミレーネが夜露草をまっており、さっそく依頼の話が始まります。こういうテンポよく進むところもいい……
用件は何かといえば、最近スラムの各所で多発している「奈落の魔域」に関してのお話。どうやら我々夜露草に、頻発する奈落の魔域の発生原因を特定し、排除してほしいというお願いのようです。今回も夜露草の力を見せてあげましょう!

話をいろいろと伺っていくと、どうやら奈落の魔域は定期的に発生してはいるものの、発生個所に関連性はなさそう……
調査の対象となり得る箇所は

  • シャロウアビス発生地点1:スラム街(6日前)
  • シャロウアビス発生地点2:ぼろの集合住宅の街娼の部屋(3日前)
  • シャロウアビス発生地点3:若者のたまりばになっている廃屋(昨夜)
  • 別の酒場(ガラが悪い)
  • 盗賊ギルド(情報を絞れば耳寄りな情報が手に入るかも…?)
  • 酒場の情報屋に役立ちそうな情報を聞く(GM曰く、相応の対価が要求される手詰まりになったとき用らしい)

と、いうわけでまずは探索の基本に立ち返り、現場を洗うことに。一番初めにシャロウアビスが発生したというスラム街へ。

向かってみれば、サイヤ人同士が戦った時のような、地面に丸く抉れた跡が……どうやらすでに魔域は消滅してしまったようです。
とりあえず周囲のぼろをまとった乞食たちに話を聞いていくことに。ここではナザラが小銭を渡しつつ、上手く乞食たちから情報を引き出していきます。こういう動きをサッと差し込める当たり、PLの練度とナザラ君の生きてきた環境が目に浮かぶ……とても良い!

どうやら話を聞いていくと、別の乞食がそのシャロウアビスに飲み込まれ、そのまま消えたとのこと。魔域が消えた後も姿が見えないので、おそらくは何かあったのでしょう…
また、その飲み込まれた乞食は新手の麻薬を楽しんでいたようです。なかなかいい感じに治安が悪くて実にスラムという感じ。こういうのも楽しめるあたり、魔導死骸区は面白いですね。その麻薬を楽しんでいた乞食は、どうやら"朽葉通り"という通りで、商人から麻薬を手に入れている、という有力な情報も引き出します。ナイスナザラ!

 

つづいてシャロウアビス発生個所その2、集合住宅へと足を運びます。
どうやら奈落の魔域は、集合住宅の2階の角部屋で発生したらしく、大きな穴があけられていました。こういうのがあると、アパートの管理人とかも大変ですね。保険とかなさそうだし……

それはさておき、隣の住人から話を聞き出すことに成功。お隣さんは、どうやら娼婦のようで、消えた角部屋の住人とは顔見知りの様です。その角部屋の住人も娼婦のようで、どうやら最初の現場と同じように麻薬に手を出していたとのこと。なにやら怪しい気配。

そして、その麻薬は『新しいお客から貰った』との重要な手掛かりが。そのお客の風貌は、「ヤマネコのリカントで、左耳が裂けていた」とのこと……
リオルの特徴と一致する発言にざわめく一同、しかし彼の人となりを知っている我々からしてみれば、信じがたい話です。きっと何かわけがある……と、考えることはひとまず置いて、最後の現場へと移動します。

 

そして最後、シャロウアビス発生個所その3。若者たちのたまり場になりつつあるという廃屋へ。ここの廃屋にはまだ奈落の魔域が残っており、酒瓶やたばこの吸い殻、数人分の衣服が脱ぎ散らかされているという重要な描写が!コンシール・セルフ!!シースルー!!インビジリティ!!姿なき職人!!ホオォォォアァ!!

最高に治安が盛り上がってきたところで(?)真面目に探索を開始。落ちているたばこから、薬品学判定で調べていくと、こんなことが分かっていきます。

  • 材料は魔神の血と既存の麻薬。いろんなものが混ざっており、魔術的効果を掛けている。
  • 多幸感と幻覚の作用がある。
  • 複数回の服用により、体が"奈落"との親和性を増していく、かも。

めっちゃやべー薬だった……
こんなものキメたら常人には戻れなさそうな雰囲気バリバリです。何度もキメれば、「俺が奈落になるんだよ!」状態で、そのまま奈落と一体化できそうな代物でした。なかなかにGMの闇の深さがうかがい知れる一品。ぜひとも一本吸ってみたい気もします。

ここで乱痴気騒ぎをしていた若者たちにぜひとも事情聴取するべく、あたりで聞き込みをしてみると、どうやらその若者グループの一人、「タリム」なる青年の存在を確認。どうやら、お家は中級住宅街とのことなので、冒険者一行は突撃隣の麻薬ご飯することに。

 

さて、ここでそのタリム…いえ、タリム君と出会うわけですが、これが……とても可愛らしい男の娘男の子で、PL達が(というか若干2名が)暴走し始めます。立ち絵がね…すごくかわいい感じの、それでいてちょっと幸薄そうなショタ立ち絵でね……

PC達はまじめな顔でタリム君に詰め寄っていますが、PLは別の意味で詰め寄り
「こんなかわいい男の子が"パーティ"に参加してるなんてバイの道不可避~~~」
「可愛い男の子、脱いだ服・・・」
「服を拾いに戻るぞ!!!!!」
「とりあえず、現場を再現してみないか?(提案)」 (原文ママ
などと妙な方向へと盛り上がりました。実に素晴らしいNPCをありがとう…ありがとう……(神GMに感謝)

話をもどして、タリム君から話を聞けば、どうやらグループのメンバーである「アラン」なる人物がタバコを手に入れ、みんなで吸い回したらしい。しばらくは楽しんでいたものの、アランの身体が真っ黒い何かに包まれ、みんなも飲み込まれてしまったらしい。タリム君は少し離れた場所で、ちょっとしか吸っていなかったため、難を逃れたとのこと。

そのアランとやらも、薬は"朽葉通り"という通りで入手していたらしく、どうやら麻薬の流通元はその通りのようだという事も見えてきます。こういう風に、徐々に謎が明らかになっていく感覚がシティシナリオの楽しい所ですね。GMである七葉さんの手腕もあり、テンポよく進み、NPCやPC達と絡むこともできる……本当にすごいのだ!

なお、この後タリム君は口止め料も含めて、PCたちに100Gちょっとを巻き上げられます。鬼かな? でも、めっちゃ可愛いですね♡(加速する加虐心)

 

冒険者たちは、このあと奈落に飲まれたというアランを助ける。という建前で、アビスシャード欲しさに奈落に突入します。とんでもねぇ奴らですね(にっこり)

奈落の中は、白い雲、蒼い海、照り付ける太陽、そして美しいリゾートホテル! な、リゾート地のような場所に変貌していました。冒険者たちは警戒しつつ、リゾートホテルへと進んでいきます。

ホテルの中には、端正な顔立ちではあるものの表情のおかげですべてが台無しな男と、半裸の女二人がソファでイチャコラしている模様。ファイアボールが撃てないのがとても残念ですね。どうやらこの男が「アラン」とやらで、周りの女は若者グループの女らしい。どうにも薬の影響なのか、へらへらと笑っているご様子。

「女を連れてきたのか?ふーん、ガキだけど、結構美人じゃん」
「あ、男に用はねえから帰っていいぞ」とへらへら対応してくるので
イライラとしたアレクが、男の顎を握り掴みながらパワー交渉術を開始。暴力はすべてを解決するのです。……実のところ、素の筋力値でいくとセシリーが一番高かったりします。しかしここはイメージ先行で、アレクが美味しく頂かせていただきました。

アレクのケツ顎にするぞ宣言で締め上げていると突然苦しみ始める男。おいおい、そんなに力込めてないぞ、ケツ顎カウントはまだ進んでいません。
あまりのことに動揺していると、突如として男がナメクジのような怪物に変貌するではありませんか!しかもぬるぬるの粘液まみれ!アレクべとべとになっちゃったよぉ……

そして、このまま得体のしれない何かと戦うことになります。なにやらねとねとでベトベトなナメクジ魔神。魔物知識判定には失敗し、正体は不明なものの、先制判定には成功。冒険者たちが先手を取ります。

セシリーが開幕で【モラル】を歌い、命中力にボーナスを与えつつ、ここでナザラの新兵器がお目見えします。その名もリピータークロスボウ『エピックトレジャリー』で新たに登場したクロスボウの一種で、命中判定の達成値が高ければ高いほど、命中する太矢の数が増えるという武器。

 

尚、ソードワールド2.5リプレイ『10ガメルの心臓』でも、プレイヤーキャラクターの一人が使用していたりします。著者は河端ジュン一さん。とても読みやすく、絶海の孤島での冒険、隠された謎と秘密、そしてキャラクター達の過去と願いにまつわる話が読める初心者にもおすすめのリプレイとなっていますので、興味があれば是非読んでみてくださいね!(宣伝)

【10ガメルの心臓 KADOKAWA公式】

https://www.kadokawa.co.jp/product/321909000796/

 

ナザラの放ったリピータークロスボウの攻撃は、命中値が敵の回避よりも+6という、なかなかの高達成値で命中! 放たれた太矢は3本命中し、42点近いダメージを発生させます。すごく強い……! これは頼れる新兵器ですね!

アレクもナザラの攻撃に続き、16点近いダメージを稼ぐ!
さらに続くレンの猛烈な連撃で、ナメクジ魔神はぐちゃりと潰されます。うわぁ、このパーティー火力高いですねぇ……

倒されたナメクジ魔神はやや体が縮むものの、人間には戻らない様子。これが薬に手を出したものの末路。恐ろしいですね…… 絶対にダメ、違法ドラッグ!!

先ほどの二人の女性たちも、戦いが終わりこちらに駆け寄ってくる。どうやら"パーティー"の参加者らしく、強さを見せつけた冒険者に媚び媚びなご様子。

ナザラはどこか辟易した様子で「そいつらはアレクが好きにしてくれ」との発言。
「なんだ、ナザラはモテそうだが?」とちょっと意地悪く返してみると
「モテるからそんな女はいらないって言ってるんだよ」と返されました。かっこいい…! なお、ナザラ本人は色恋沙汰からは離れたい模様。こういう部分が少しずつ垣間見えるのもCPの醍醐味ですね!

なお、この女性たちは無事に奈落の魔域から脱出できます。このとき、私は「目の前に住所不定の女が二人いるので、薬を飲ませて放置すればアビスシャードが剥ぎ取り放題…?」などと口走っていましたが、同じことを思っていても普通口には出さんと言われてしまいました。おやおや、おかしいですね……?

 

さて、奈落から戻ったあとは、これまでに得た情報から"朽葉通り"へと向かい、麻薬の売人の元へと向かいます。その途中で、盗賊ギルド幹部の愛人がなにやら口論をしているのを目撃。話を聞いていみると、何やら不穏気な話を耳にしてしまいます。

  • ある日、すこし手洗いに立ってから戻ると、幹部が死んでいた
  • 驚いて人を呼べば、血の跡はあったが死体は消えていた
  • ざわざわと騒ぎになっていると、奥から当の本人があらわれた
  • まわりの人たちからは、愛人は「気が触れた」と思われてしまった

と、要するに死体を見たのに、その本人がピンピンしているという、恐怖体験をしたという話を聞きます。そして、その幹部はもともと反麻薬派だったのが、その後は親麻薬派へと鞍替わり。以前追い返した『グレン』の麻薬を受け入れたとの話。

ドチャくそアウトや……絶対に巨大な陰謀が渦巻いてるじゃん…!
さすがに盗賊ギルドの本部にドンパチ掛けるわけにもいかないため、一時"箒とチリトリ亭"へ退却。マスターや"リトル・レディ"を交えて相談タイム。

結果から言うと、依頼されていた「原因解明」まではクリア。追加の依頼として「問題解決」へと続いていきます。具体的には証拠の確保と、『グレン』の捕縛。

まずは証拠を押さえるため、薬の売人からその製造元までをたどり始めます。朽葉通りで売人を見つけ、張り込み、その売人が薬の製造元と接触するまでひたすら待つ……
なんというか、とても張り込み捜査っぽくて、こういうのすごく好きなんですよね。シティならではの自由度と、この魔導死骸区という荒んだ環境、そんな中、各自の信念や思い、利益のために動く者たち……そういった群像劇的なものは結構性癖だったりします。いいよね……

 

さてさて、売人が動き出しとうとうその薬の卸元とのご対面。大きな袋を抱えたチンピラ風な男が薬と金を交換して行きます。チンピラの跡を追えば、その男が倉庫街のある倉庫に姿を消すのを見かけることに。

倉庫には隠された地下があり、どうやらそこに薬が隠されている模様。冒険者たちは斥候を出し、注意しながら進んでいくと……その奥で、黒幕たちを見かけます。

無数の木箱やタル。樽の中は、時折何かが動いており、その近くで男が二人麻薬を煙草にまいたり、小分けにしたり作業をしている……
そして、それを見つめるのは"左耳が裂けた、ヤマネコのリカント" リオルだ。

相手もこちらの存在に気が付き、言葉を駆けてくるものの…リオルさんの話し方とはどこか違い、なにやら違和感を覚える…ここまでくればもう分かります、リオルに成り代わった誰かです。ではリオルはどこに…? と、その誰かさんに問い詰めると

「リオルにぃ、ね…。じゃあ会わせてやるよ。いとしのお兄ちゃんになぁ!」

と、そのリオルの顔の誰かは、横に置かれていた樽を蹴飛ばします。中から転がり出てくるのは、リオルだったもの……そう、リオルの死体でした。

 

初めての、親しい人の死。
PC達は酷く動揺し始めます、特にリオルとは親しい間柄だったセシリーは涙をこぼすほどに、その残酷な現実に打ちのめされてしまいます。
しかし、ナザラは「リオルさんが容易くやられると思うか?」とセシリーを優しくフォロー。レンも目の前の敵に備え、獣変貌し戦闘モードへ。アレクも怒りに震えながら武器を取り、敵へと相対します。

このCP始まって以来の、PC達に関連のあるNPCの死。こういう、良くも悪くも心揺さぶる演出がある時、そのPC達の本性が露わになるのかな、と私は思います。
悲しみに暮れるもの、鼓舞し元気づけ支えるもの、仲間を守るため武器を取るもの……こういう点がそれぞれにはっきりとしているからこそ、このパーティーでの冒険は楽しく、辛く、よい物語になっていくのでしょう。
自PCであるアレクも、今後どういった風に『心』が成長していくのか、楽しみですね。

悲しみに暮れつつも、リオルさんの姿を取っていたそれは、みるみるウチに姿を変え、巨大な蛮族の姿へ。PC達との戦闘が開始されます!

 

魔物知識判定の結果、目の前の蛮族は「レッサーオーガ」の強化個体種であると判明。どうやら、いろんな人物の心臓を食べ、成り代わっては都合のいいように糸を引いていた模様。どうやら「グレン」の正体はこのレッサーオーガだったようです。尚、チンピラたちは匪賊の雑兵の データ。また、戦闘エリアには何やら動いている樽が……あ、怪しい…!

先制判定は「13」と比較的高めの値。ナザラは失敗してしまいますが、ここはレンが自慢の敏捷度とダイス目のよさで奪取!ナイスレン!! やはりスカウトが二人いると安定しますね!

先手を取ったPC達は、初手で「雷鳴の太矢」を使用! これも「エピックトレジャリー」にて追加された矢の一つ。命中すると、強烈な雷鳴の音を鳴り響かせ、相手の耳を聞こえなくしてしまうばかりか、命中力と回避力の判定に-2のペナルティ修正を与えることができる強力なアイテムです。おっそろしい矢……
しかし、味方も巻き込んでしまう可能性があるため、戦闘の一番最初、味方が接敵する前の敵が固まっているところに打ち込んで使用します。

この恐ろしい雷鳴の太矢を受け、敵のチンピラたちは聴覚をしばらく失ってしまいます。しかしレッサーオーガであるグレンは抵抗に成功! さすがはボスといったところ。

続いてセシリーは【フィールド・プロテクション】で味方のダメージを軽減していきます。

レンはチンピラへと殴り掛かり、なんとこの手番のみでチンピラを一人沈めてしまいます。さすがは連撃主体のグラップラー、単体に対しては鬼のような強さを誇ります。

さてアレクの手番、アレクは薙ぎ払い主体のファイターであるため、できる限り多くの敵を巻き込みたい考え……そして、さっきからガタゴトと揺れる怪しい樽。GM曰く、補助動作ですべての樽をOPENできるとのことなので、とりあえず二つある樽を開けてみることに。

樽の中身はなんじゃろな……と、ドキドキ気分で開けてみると、そこにはなんと、でろんでろんに溶けた人間、あるいは人間のようなものが! な、なんじゃこりゃ…!!

 魔物知識判定に成功するとどうやら魔神の様子、しかし「世界の汚染」と呼ばれる範囲魔法攻撃をもつ、「エピックトレジャリー」に掲載されている、トレジャーポイントで強化された魔神の様です。
「世界の汚染」は初めてダメージを受けた時、半径20mの任意の対象に対して毒属性の魔法ダメージを与える能力。これが新たに湧いた二つのでろでろ魔神の持つ能力……
加えて、「グレン」は「肉の盾」という特殊な能力を使い、自分へ攻撃が来た際に、自分の味方を盾にすることで身を守るというスキルを持っていました。

つまるところ、下手に数体まとめて薙ぎ払えば「世界の汚染」の能力をもつでろでろ魔神が2体とも被弾し、毒属性魔法をぶちまけることに…… 威力は低くとも、重ねられると続くグレンの攻撃に対して不利になってしまいます。しかし、この手番ではグレンは「肉の盾」を使ってこない様子、それならばと「グレン」「チンピラ」「でろでろ魔神」の3体を薙ぎ払いの対象に選び、メイスで殴り掛かります。

こういった、特殊能力持ちの魔物との戦闘というのもとても楽しい……。単に強い!というのもいいですが、こうやって攻撃する順番や、攻撃してはいけない敵、今攻撃するのが最も得(だと思われる敵)のように、考えて戦う要素があるのは、個人的に大好きです! ギミックバトル楽しいよね……考えているときは吐きそうになりますが……!

 敵に攻撃が命中し、「世界の汚染」が発動します。しかし、想定以上に出目が振るわず、大したダメージを受けないPC達。これならば、安定してまだまだ戦えそうです。

ここで敵の手番、敵は前衛で一番背の高いアレクに攻撃を定めます。まぁ確かに、レンは155㎝、セシリーは142㎝、ナザラですら156㎝というところ、アレク脅威の198㎝。当然っちゃ当然の集中砲火です。

チンピラがアレクに切りかかるもののこれは回避、つづいてでろでろ魔神達の攻撃ですが、知能が低いためかグレンの言葉を聞かず、レンに襲い掛かります。しかしレンは圧倒的な回避力でこれを回避。業を煮やしたグレンは、【マルチアクション】を宣言し、アレクに襲い掛かります。

初撃の切りかかりは避けること敵わず、その身で受けることに。しかしここで、GMの出目が走り21点の算出ダメージとなかなかの高威力。続く真語魔法【リープ・スラッシュ】も抵抗に失敗しもろにダメージを受けてしまいます。しかしこちらは出目が振るわず7点の魔法ダメージ。防護点を差し引いたもろもろのダメージは21点ダメージでした。あ、あぶねぇ…【リープ・スラッシュ】がクリティカルしていたら死んでいたぞ……!

つづく手番では、セシリーが全員を回復しある程度HPを持ち直します。アレクは残ったチンピラとでろでろ魔神、そしてグレンに薙ぎ払いを行うも、「肉の盾」の効果によって、でろでろ魔神の2体目にかばわれてしまいます。そして庇われダメージが入ったことにより、「世界の汚染」が発動! 全員に毒属性魔法ダメージが入ります。むむむ、レッサーオーガのくせに小癪な……!!
しかし、でろでろ魔神の1体は薙ぎ払いに巻き込まれ行動不能に。

レンは薙ぎ払いでくたびれつつあるでろでろ魔神の2体目に連撃を喰らわせ、また1体沈めます。いいぞ、どんどんやってくれ! さもないと私が死ぬ!(必死)

つづくナザラも、のこされたチンピラに攻撃し余裕のオーバーキル。頼もしい仲間たちです! とうとう敵は、レッサーオーガのグレンだけに。

つづく手番、敵のターンでグレンは変わらずにアレクに攻撃を開始! 先の手番で「肉の盾」を使ったために、この手番では【マルチアクション】を宣言できない様子。しかし、アレクのすり減ったHPでは敵の攻撃力次第では気絶、死亡もあり得る範疇……

運命の攻撃! 命中判定ではアレクはグレンの攻撃を避けられず被弾、そしてダメージの算出では……15点の算出! 防護点含めて9点を受け止め、ぎりぎりHP3で耐えきります。あ、あぶなかった……!

さて、3ラウンド目。冒険者たちの手番。

猛烈な勢いで、レンの連撃がグレンを襲います。的確な打撃、高い器用度と何よりも出目の強さで圧倒し、全ての攻撃をグレンに打ち込む!
算出ダメージは驚異の34点。冒険者Lv3にしてこの高火力はすさまじい……!
グレンの防護点を差し引いて、28点のダメージを与え、残りHPは27!

つづき、ナザラの手番ではリピータークロスボウがグレンを狙うものの、3本中1本の太矢のみが命中。算出ダメージは11点、防護点を差し引いて、グレンの残りHPは18!

的確にグレンを追い込んでいく冒険者たち、次はアレクがメイスを振るい、なんとか命中させていく。しかし算出ダメージは18点! 防護点を差し引いて、残りHPは2!

最後の行動はセシリー。もっともリオルと仲が良かった彼女の、渾身の【フォース】がグレンを襲います。グレンは精神抵抗判定でセシリーの魔法行使に抵抗していくものの、【フォース】の算出ダメージは10点! 半減しても5点という致命打を受け、とうとうグレンは地面に倒れ伏します。

畳みかけるような冒険者たちの攻撃、そして最後のセシリーによる【フォース】の一撃と、とてもいい流れの戦闘でした…… 特に、一番リオルと仲のよかったセシリーが、「リオルにぃをかえせえええ!!!」と叫びながら【フォース】を放ち、仇であるグレンを打ち倒すという神がかった展開……美しい、素晴らしい……!

しかし、リオルさんが殺されたという事実は覆りません……。 慟哭を上げ、悲しみに暮れるセシリー。後の幕間でいろいろとエピソードが語られますが、非常に深く、親しい関係だったようです……辛い……
ナザラは先ほどの「リオルさんが容易くやられると思うか?」という発言から「……悪いな、嘘ついた。 呪うなら俺にしてくれてもいい」とイケメンなセリフを口にします。こんなハードボイルドなセリフを言っていますが、恐ろしいことにまだ12歳の少年なんですよ……末恐ろしいですね!
レンもまた、リオルさんの死体と、今のPC達の状況を見てか「…力がなければ、死ぬ。私たちも、同じ」とぽつりとつぶやきます。これまで悲惨な目に合ってきた少女だからこそ、この非情な現実を示す台詞が出てくるかと思うと心が苦しくなりますね……

アレクはといえば、過去の記憶がなく初めて親しい人の死を目前にし、3人にどう声をかけていいのかわかりません。それぞれ3人が背負っている「過去」と、自分の何もない空虚な「過去」。こういうところで差が出てくるとは思ってもいなかったので、想像以上に衝撃を受け、なにより面白い体験をさせていただきました……!

さて、それはそれとして、証拠を押さえ、白目剝いて倒れているグレンを縛り上げつつ、金目のものは洗いざらい回収していきます。こちとら慈善事業でやってるわけじゃぁないんでね! リオルさんについても、もしかしたら蘇生ができるかもしれないとわかり、急ぎ彼の遺体を保護し"箒とチリトリ亭"へ帰還します。

"リトル・レディ"ミレーネに事の顛末を伝え、なんとかリオルさんの蘇生ができないかと頼み込むと、一つアテがあるとのこと。ただし、蘇生の条件はミレーネの下にリオルさんが付くこと。PC達はリオルがそれを望み、蘇生を受け入れるのであれば……と、ミレーネにお願いします。

こうして、冒険者たちは魔導死骸区を包む、大きな渦に巻まれつつ、今回の冒険を終えます。しかし、このリオルさんが殺された件は、冒険者たちの心境に大きな影響を与えることとなっていきます…… 特に幕間ではその傾向が強く語られていたりしました!

尚、後日聞いたところによると、リオルは蘇生される道を選んだようで、しばらく後に冒険者たちとも再開を果たすこととなるのですが……それは次のお話となります。

 

本来ならここでシナリオ終了! となるのですが、今回は「マスターシーン」が挟まります。いわゆるPCが登場しない、ナレーションとNPCのみのシーンですね。ソードワールドではあまり見ませんが、DX3rdを始めとする他のシーンでは時折見かけたりしますね! 個人的GMをやるときには、PLだけに伝えたい情報などがあるときなどに簡単に伝えることができるので、とても便利に扱っていたりします。

マスターシーンでは、玉座の間のような場所で、ディアボロの男性が跪いているシーンからスタート。どうやら、そのディアボロの男は「イスデガ」と呼ばれているようで、玉座に座る誰かに問い詰められている様子。

玉座に座る男は、"実験"はどうなったかと問いかけ、イスデガは「グレンがしくじったものの、アビスコアを発生させる効果は確かめられた」と怯え気味に報告している模様。どうやら、奈落を発生させ、そのなかの核となるアビスコアがお目当てらしい……

しかし玉座の男は、奈落の魔域が発生し、グレンが捕まったことで騒ぎになったと、イスデガを詰ります。おぉ、こえぇ……明らかにボス臭漂っていますねこの人!

イスデガは言葉に詰まるものの、玉座の男は最低限のデータは取れたことで満足したのか、イスデガを下がらせます。悪の組織(?)っていうのも大変ですね。上司が文字通り鬼上司だと、部下は大変そうです。

そして、イスデガが下がった後の部屋。一人玉座の男は天を仰ぎ、
「あと少しだ……あと少しで、貴方に破壊と混乱を、血と嵐を捧げることができる。ああ、我らがフラミラルベスよ!」歓喜の声をあげ、シーンは終了します。

破壊と混乱、血と嵐、そして謎の言葉「フラミラルベス」……一体何が蠢いているのか? 実はこれらは、第3話にて発覚するのですが(これを執筆当時、3話が終了している)この時はまだ誰もが、一体何が起きるんだ状態で戦々恐々としていました……

 

◆セッションを通じて感じたこと

親しき人の死。それぞれの過去を思い、それぞれの心境で語り、動く冒険者たち。

今回のセッションは、シティタイプのシナリオという事もあって、「魔導死骸区」という場所が色濃く描写された、いい意味で生々しいシナリオでした!

特筆すべきはやはり、NPC「リオル」の死と、それに揺れる冒険者たちの心情でしょうか。冒険者という職業柄、死というものは常について回るもの。敵の死か、己の死か、はたまた大切な誰かの死か…… こういう、新鮮に心を揺さぶる描写を忘れないようにしていきたいものです。

セッションそのものとしては、これだけの大ボリュームなのにさくさく進行で、しかも話も分かりやすいという七葉GMGM力の高さを伺うことのできる、とても良いセッションでした! どっかのGMと違って時間超過しないのほんとにすごいと思います…!

あと、ところどころ「あっスラムだ……」って思うような描写が含まれてるのは個人的に好きです。娼婦たちの住む安い住宅街や、廃屋でたむろしドラッグと夜遊びに夢中になる青少年たち。物乞いのおじさんから小銭と引き換えに情報を得られる等々、遊び心満載の情報収集フェーズでとても楽しかったです! 七葉GMの想像する「治安」が良くわかるいいシナリオでした、参考にさせていただきます!!

 

  •  第2話「魔動死骸区にアビスパワーな魔動機がたくさん出現する話」

◆ざっくり振り返り

さてさて、三回目にもなるこの魔導死骸区CPも、すでに折り返し地点。今回のセッションでは、なんとありがたいことに自PCである「アレク」の過去を取り扱ってくれるシナリオでした! すげぇありがてぇ……!!
また、アレク以外にもナザラの過去に関して触れられるシーンもあったりと、それぞれのPC達の過去に触れていく、そんなシーンが満載でした。

 

さてオープニング、今回はアレクが夢を見ているシーンからスタート。どこかはよくわからない場所で、アレクは巨大な魔動機に乗り、その魔動機を操っています。
その巨大な魔動機は、乗り手のアレクの意志をその原動力としているかのように、アレクの「怒り」という感情に応じて、破壊力を増し、目の前に立ちふさがる、同じ巨大な魔動機と戦っています……

どうやら知らぬ間にソードワールド世界線からメタリックガーディアン世界線に移っていたようです。と、与太話はさておき、誰と、何のために戦っているかもわからないまま、夢の中のアレクは怒りのままに鋼鉄の拳を振り上げます。
しかし、背後からの強烈な一撃を受け魔動機兵はそのまま倒れ、完全に沈黙。アレクもそこで目が覚めていきます。

 

どうやらPLが想像していたものよりも、大きな設定がある模様…… GMである七葉さんには、事前にアレクの設定に関して「燃やせる過去を置いておきました、ご自由に燃やしてください」と、過去の欄をあえて書かないキャラシをお見せしております(一部だけ設定を生やしたりはしています)
特に過去の設定を考えていたわけではありませんが、こうやってGMの方からも弄っていただけると、PL冥利尽きるというかうれしいものですね!

さて、あまり寝起きがGOODとは言えない状態で起床。我ら「夜露草」のアジトで全員と合流します。尚時刻は昼に近いのか、すでに朝遅い時間帯の模様で、皆起きていろいろ準備しているところ、ゆっくり起床のアレク君。いい御身分ですね。

あーだこーだしていると、アジトに来客が。誰かと思えば、そこには元気そうなリオルさんが!! よがっだ!いぎがえっでぐれだ!!(感涙)

このシナリオは、前回のシナリオから約1か月ほど経過しており、その間PC達はリオルとは会っておらず、ほんとに久しぶりの再会。どうやら、彼は彼で"仕事"が忙しかったようで、会いに来れなかったことを謝ります。そんなことはどうでもいい! 貴重なリカント枠が一人でも無事だったのでもうすでに私は満足なのだ!!
ふさふさの尻尾も、かわらない切れ込みの入った耳も無事な様子。ヤマネコのリカントってすごい体しなやかそうですよね。尚どうでもいい話ですが、「ヤマネコ」と呼ばれる動物は、日本には現在のところ、西表島に生息するイリオモテヤマネコと、対馬に生息するツシマヤマネコの2種類しか存在しないそうです。どちらも絶滅の恐れが最も高い絶滅危惧ⅠA類だそうです。

 

閑話休題

 

話を戻し、感動の再会もつかの間。冒険者たちのいるアジトに突如として魔動機兵が襲い掛かります。私たちのアジトに何をするだーー!!! 突然カチコミを掛けてきた不埒な魔動機兵は、キャタピラに二つのアームを持つ胴体を載せた魔動機兵のようで、他にも小さな魔動機たちが、放棄されていた魔導巨兵の側面タラップから次々と湧いて出てくるではありませんか!

しかもそいつらは、手当たり次第にスラムの人々を襲っている模様。魔動機兵の反乱かな? 不当な労働環境に嫌気でもさしたのでしょうか。
しかもよく見てみれば、先ほどのアレクの夢に出てきた魔動機兵によく似たデザインの様です。大きさこそ天地ほどの差がありますが、どうやら同じ技術が使われている様子……なにが、なにかが起きている……?

ともかく、夜露草の面々はスラムの子どもたちを、そして何より今まさに食べようとしていた食事を守るため武器を手に取り戦います。食べ物の恨みは怖いのだ…後をひくしな……! そんなこんなで殲滅戦開始!

 

襲い掛かってきたのは3体の魔動機兵。しかし、それらと接敵すると不意に頭の中に何かが聞こえてきます。最初は微かな音だったのが、次第に大きくなり、そしてそれが「人の声」だという事に気が付きます。不気味なことに、頭の中に入り込むようにして、その不気味な声と感覚が魔動機兵から伝播してくるのです。

《みえない、みえない、くらい、くらい》
《きこえない、きこえない、だれか、だれか》
《みつけた、みつけた、かがやく、たましい!》

奇妙な声を聴いた貴方たちは、SANチェック。0/1d4のSAN値を喪失します。と、GMからアナウンスが入りそうな描写が。なんだよこいつら、怖すぎるんだけど……

魔物知識判定はセシリーが、先制判定はレンが無事に奪取し、先制攻撃を勝ち取ります。まずはセシリーが【モラル】を歌い、メンバーの命中力を上昇! 相手は【カテゴリ:魔動機】であり《精神効果無効》を所持しているため、呪歌の効果は適用されません。頭いい……!

つづいて、アレクが前に出ます。ここで、今回のセッションより初登場のマイ騎獣「ダウレス」こと「ダルク」が登場!! 実は、SW2.0/SW2.5と遊んできて、ライダー技能って触ったことなかったんですよね。そもそもPLとしてキャラを操作するの機会が少なかったのものありますが、部位数が増えることで自分が上手く処理できるのか不安だったというのも大きい所。しかし、今回は大人気ないPL/GM達のサポートのおかげで、初めてライダー技能を触ることができました! わぁい!!

まずは騎手であるアレクが【薙ぎ払いⅠ】を宣言し、敵の魔動機兵3体に薙ぎ払いを叩きつけます。今回から武器もシェルブレイカーに更新し、それぞれ14,10,14点となかなかいいダメージを与えていきます。

そしてここから、騎獣であるダルクの攻撃! 今回は、アレクが2Hで薙ぎ払いをするビルドであるため、騎芸に【遠隔指示】を習得しています。そのため残念ながら騎乗しているわけではありませんが、それでもともに前線で戦う仲間が増えるのは心強い。ダルクに【テイルスイープ】を指示して共に殴り掛かります。

また話が脱線するのですが、このレベル帯のGMをやっていて恐ろしいのが、このダウレスとかいう存在。このセッションでは冒険者レベルは4(ナザラはシューターでBテーブル技能であるため、5レベル)であり、このレベルのPC達ができる範囲・複数攻撃というのはある程度限られている。というのが私のイメージ。

【薙ぎ払いⅠ】は扱いやすいですが3体までの巻き込みであり、【両手利き】ビルドであっても、このレベルで【双撃】を取ることはあまりないでしょう。【魔法拡大・数】でお手軽に攻撃対象を増やすこともできますが、MP総量がさほど多くはないため、気軽に打ち込むのは難しい…… 【魔法制御/収束】を取るビルドパスならソーサラーが多いでしょうが、メインの【ファイア・ボール】Lv6で習得できる魔法の為、撃てるのはせいぜい【ライトニング】【スパーク(操霊)】などでしょう。マギテックでも、皆大好き【ショットガン・バレット】Lv5です。

そんな中、颯爽とLv2~4帯に現れるのがこのダウレス。主動作能力である【テイルスイープ】特になんのデメリットもなく5体まで巻き込んで攻撃できるという優れもの。連続した手番では使えない、という制約があるものの、そんなものは大した足枷にはなりません。

しかもPC並みに防護点を持ち、HP量もそれなりにあるため比較的強固な壁役としても活躍が見込める、このレベル帯PC達の救世主でありGMにとって悪夢のような存在でもあります。なんなんだこいつは一体。

さて、そんなダウレスのダルクの攻撃。長い尻尾で敵を絡め取り、7,6,13のダメージを与えてきます。尚、命中はメイスを握るアレクと1しか変わらず、かなり優秀な命中力も持ち合わせている模様。本当に、魔物知識判定ができたり探索系判定も割と触れてしまったりと、ライダー技能はとても優秀な技能ですね。

この攻撃で、魔動機たちはほとんどが半壊状態。
そこに脅威の連撃攻撃力を誇るレンが襲い掛かり、圧倒的な命中力で瞬時に1体を粉々に砕いていきます。その与えたダメージは実に30点! さすがの単体破壊力です。

残る2体のうち1体を、続くナザラが的確にリピータークロスボウによって破壊! こちらも高い命中値をたたき出し、2本の矢を当て、12点のダメージを与え魔動機兵の1体を完全に停止させます。

敵の手番では、残る1体の魔動機兵が奇妙なうわごとを発し、その恐ろしい声に男性陣は動揺を隠せません(見事に男性陣だけ精神抵抗判定に失敗した)

そのまま魔動機兵はアレクを狙い、8点のダメージをアレクに与えます。結構防護点高いはず(防護:8)なのですが、割と削られていきますね……

しかし、ここは確実にレンが仕留めていきます。残された1体はうわごとを残しながら、屈強な女性人たちにねじ伏せられていきます。怖すぎる。

 

さて、破壊した魔動機を見ると、アレクの脳内に過去の記憶が思いかびます。どうやらアレクはこの魔動機を知っているらしい……ということで、情報はこんな感じでした。

 

・これは「アビス動力コア」と呼ばれる動力を使っている。
・アビスコアに制御装置を取り付けエネルギーを引き出すもの。原理はややこしい説明があったと思うがわからない
・このコアには精神のようなものがあり、ティエンスの能力でアクセスすることで最大限の力を引き出せる

アビスパワー魔動機
遠隔操作型:外から命令を与える。接続強度が低いため、負担は少ないが細かい制御ができない&出力も低い
同化操縦型:人がアビス動力コアと共鳴して制御するため、操作精度が高く複雑な動きも可能。ただ異質な精神と接続するのでパイロットの精神への負担が高い。"ナビゲーター"が間に入って負担を軽減する
・今朝夢に見たのがまさしく魔動兵を操縦している場面だ、と確信できる

 

どうやら想像している 以上に、大きな何かに絡んでいる模様。ぼ、ボクが一番うまくガンダムを扱えるんだ!

それはそうとて、謎の魔動機の襲撃を受けたスラムは大きな被害が出ているようです。あちこちから火の手が上がり、うめき声が聞こえてきます。我々、夜露草も周辺の人々を救出しながら、脅威と成るものを排除していきます。全員で手分けして探していると、どうやらナザラが赤ん坊の泣き声を聞きつけます。

ナザラがその現場に駆け付けると、倒壊した柱に巻き込まれるようにして、女性と、その赤子とみられる二人が倒れているようです。しかし、ナザラはこの女性に見覚えがある様子……

ここで、ナザラPCの過去の話と絡んでくるのですが。ナザラの一族はもともと魔導死骸区の生まれではなく、エルレンフェルニェという集落に住んでいた、天才的な調香師の一族でした。ハ―ヴェス王国の貴族たちお抱えになるほどの腕前を持つ一族でしたが、あるときその一族に忌み子である"ナイトメア"が生まれてしまいます。このことで、穢れを嫌う貴族たちに目を付けられアズメンゼル一族は罪人じみた仕打ちを受け、家族は離散し、ナザラは集落から追放されてしまいます。

そして、今目の前で危機に瀕しているのが、かつてアズメンゼル一族を貶め、追放した貴族の娘だったのです。

その貴族の娘は、柱に圧迫され口の端から血をこぼしながら、助けを求めてきます。ナザラはこのことに気が付き、一瞬助けに行った手が止まりますが、「クソッ!!」と悪態をつきながらも手を差し伸べ、子どもとその女性を助けるのでした。

女性が感謝の言葉を震えながら述べると、「黙れ!!お前の罪をわずかでも償ってから死ね!!!」と激怒しつつも、最低限の処置を施し、ナザラはその場から立ち去っていきます。女性は途中でナザラのことに気が付き、助けてくれたことへ「どうして……」とつぶやきつつ、このシーンが終了しました。

良き……一瞬女性のことに気が付いて、手が止まるけど、最終的に助けるあたり、ナザラの人の良さというか、表面からは見れない根っこの部分が垣間見えてとてもエモいですね…… 自身の過去と、今。せめぎあう二つの気持ちの末の選択と考えると、ぐっとくるものがあります。


その後、夜露草のメンバーは一度集合し、現状を報告しあっていると"リトル・レディ"ことミレーネが声をかけてきます。どうやら今回も我ら夜露草の力を借りたいとのこと。彼女に連れられ向かった先は、天井の高い倉庫のような場所。中には無数の魔動機や部品が広げられ、どうやら魔動機の工房のようです。そこには、魔動機をいじくり回す"バートレイ"と名乗るお姉さんがいるようです。

どうやら彼女は、この魔導死骸区で魔動機を集め、修理したり研究したりと幅広く活動している魔動機技師らしい。なんとも、ふわっとしたというか、ノリの良いお姉さんといった感じ。そのバートレイさんから、今回暴れていた魔動機に関してミレーネから依頼があり、調査・分析していたとのこと。冒険者たちは、その分析結果を聞くことができました。

バートレイ技師の話によれば、魔動機には「アビス動力コア」なる、過去の失われたテクノロジーが用いられている模様。

・アビス動力コアとは、魔動機文明時代に開発が進められていた動力の1つである。
「いくらでも湧いてくる奈落の魔域を有効活用できないか」というもったいない精神により生み出された
・文献には存在が記されていたが、実際現物は見つかっていなかった。

なんとも、アレクの夢や過去の記憶とドンピシャなものの様子……一体何が起きているのだろうか?

魔動機の話を聞いた一同は、場所を移して"箒とチリトリ亭"へ。ここでさらに、ミレーネから前回の依頼の顛末の一部を聞かされます。組織の幹部が入れ替わり、麻薬の密売を許容した件の告発が握りつぶされたこと。そして、それができるのはもっと上からの圧力であること。最も権力を持つ盗賊ギルドの父は不在のため、次席にあたる兄へと直談判してみるとのこと…… と非常に厄介かつ大ごとになっていた模様。組織内で暗躍する何者かと、巨大な権力の前に冒険者たちは困惑を隠しきれません。

というか、これ聞いたらヤバい系の話じゃね……? と震えるPC達を前に、「リオルさんのこと、気になるんじゃない?」とミレーネが悪い顔で微笑みかける。き、きたねぇ……! まぁ、なんであれ話を聞いちゃうのが冒険者としての性なのだ。

さて、いろいろと話を聞いていくと前のシナリオの最後、貴重品などを回収している際にとある手紙を手に入れており、その解読ができたことを知らされます。内容は、奈落の魔域の核となるアビスのコアを回収しろ、というもの。また、スラムを襲った魔動機兵たちは、放棄されている巨大な魔導巨兵の中から湧いて出てきたことを教えてくれます。そして、その内部の調査を夜露草に依頼するのでした。

 

巨大な魔導巨兵。かつて前文明である魔動機文明、アル・メナスが産み落とした鋼鉄の戦士。夜露草は、魔導死骸区に数百年もの間放置され続けている、その巨兵の内部へ探索に向かいます。

ミレーネの話によると、内部の未踏区域以降を調査してほしいとのこと。そして、私たちよりも先に「有名な冒険者パーティーへこのエリアの調査をお願いしているらしい…… 一体、何者なんだ?

内部へ踏み入りしばらくすると、物陰に隠すようにしてかわいらしいうさぎのぬいぐるみが放置されていることに気が付く一同。明らかに場違いなそれに、警戒心が高まります。【ドール・サイト】がかけられている可能性もあるため、とりあえず破壊することなく、石をなげて倒し、視界をふさいでおくことに。運が良ければ動物や何かの仕業と勘違いするかも……と期待を抱きつつ、さらに奥へと進みます。

通路には夜露草とは異なる、4人組の足跡と獣らしき足跡が残されていました。先行した冒険者たちの足跡だと考え、とりあえずこの足跡を追うことに。しかし、ここで一つ違和感を感じ取ります。その足跡が、通路のあちこちを警戒するようにして迂回しているのです。よく見てみれば、迂回しているところには侵入者よけのトラップが残されている模様。

うまい……!! 先に手練れの冒険者たちを進ませ、その足跡を追わせることで導線をひきつつ、かつ罠回避のための足掛かりにする……! こういうポイントも、GMである七葉さんの技量が出ているすごい点だと思います。とても感心した……パクらせてリスペクトさせていただきましょう!

罠をよけ、進んでいくと目の前に部屋。そして、右に折れた通路の先にも部屋がある模様。右側の部屋には、何やら4人組の冒険者らしき人たちと、大きな白い虎がいる模様……おや、なにか見覚えがありますな?

実はこの冒険者たち、全くの別卓で活躍した冒険者たちであり、キングスフォールを中心に活躍しているハイペリオンクラスの優秀な冒険者チーム『シュトラール』のメンバー。なかの人たち(じゃっくさんはその時GMだったのでPCとしてはいないのですが)の別キャラクターが、ここにきて登場してくれます。
とんでもなく強力な冒険者たちであり、魔動機キチのエルフお嬢様ヴァネッサ、真面目な槍使いのルーンフォーク戦士アリオル、白き虎の使い手であるティエンスのペトとその騎獣、ティルグリスのバウレン。(頭が)ヤベーメリア神官のユノスの4人組冒険者です。とんでもなくキャラが皆濃く、そしてなぜか毎回ギャグ時空になることからとんでもないのが現れたとPL達はもりあがります。こうやって、皆の別のキャラクターがシナリオに登場すると嬉しいものですね!

さて、そんなギャグ時空の住人たちがなにやらわいのわいのしている様子。どうやら、ルーンフォークのアリオル君の様子がおかしく、お嬢ことヴァネッサにヒール・バレットをぶち込まれそうになっているらしい。回復の手段なのに脅されているとはこれ如何に。「頭の中をかき回されるような音が……」とアリオル君は述べますが、他のメンバーには特に聞こえていないようです。そんな感じの会話を、夜露草のメンバーはやや引き気味に眺めます。

そうしていると、シュトラールのメンバーに気づかれてしまう一同。「そこに居るのは誰?」と銃を構えられ、あわあわと出てきて事情を説明します。なお、セシリーは憧れていた【英雄】とも呼ばれる生の『シュトラール』に会えてテンションは最高潮に。彼らにサインをねだりに行ったりと、ほのぼの時空に。なんというか、スラムの子どもたちが、憧れの人達を前にしておどおどしている、というのはなかなかに微笑ましい絵ですね…… まぁ、これをかいている段階ですでに最終回を終え、この時の私たちを振り返ってみると、結構複雑な心境だったりするのですが…… それはまた、別の機会に語るとしましょう。

話をし、なんとか誤解もとけ、彼らシュトラールの話を聞かせてもらうと、どうやらシュトラールはパリピな魔動機』を探しにここの探索を請け負ったとのこと。何をいってるんだこいつら? ただ、元のPCのキャラを完全再現した動きなのでなにも言えません。悔しいですが完璧な再現だ……
内部を探索していると、魔動機に襲われた者の一瞬で撃滅し、はぎ取れるものははぎ取り、取れるものは取っていると、アリオルが突然苦しみだした……とのこと。なんともここだけ聞くと、どっちが悪者か分かりませんが、嘘は言っていないようです。

しかし、大した収穫もなく、興が削がれたとヴァネッサはすでにやる気ゼロに。もうご帰宅ムード全開で、シュトラールの面々も「いつものことだから」みたいな顔で魔導巨兵から帰っていくのでした。結局あいつら暴れるだけ暴れて帰っていきましたね。とんでもねぇ奴らだ(誉め言葉)

 

想定外の英雄との遭遇に、セシリーを始めとして皆テンションが上がりつつ再び魔導巨兵の内部を探索開始。先ほどの通路で、正面の部屋から探索を再開します。部屋の中には壺が二つ。壺大好きなセシリーが飛びつくように壺へと近づくと……なんと、なかから巨大な蜘蛛が2体湧いて出てきます! しかも毒々しい紫の蜘蛛で、イーヴ神官であるセシリーはこの蜘蛛が魔神の一種であると看破します。よく調べると、ルルブに乗っている5レベル魔神の「モヴキラ」だと判明。壺から出た蜘蛛はこちらを襲ってくる様子はなく、部屋の奥にある通路をふさぐようにして移動し、こちらの様子を伺っている模様。

とりあえずすぐに戦う必要もなさそうなので、背後を警戒しつつ冒険者たちは先ほど『シュトラール』たちがいた側の部屋を改めて探索することに。シュトラールの面々が言ったように、地面には破壊された魔動機が転がっており、戦いの後が確認できます。しかし、それを確認すると同時に奇妙な耳鳴りが全員を襲い始めます。どうやらアリオルが言っていた奇妙な音はこれのようで、この音を聞けば聞くほどに、気分が悪くなっていきます。慌てて部屋の奥にある扉を開けて出ると、その扉には一枚のプレートが。魔動機文明語で書かれたそれには

『注意! 侵入者防止用音波稼働中! 1分以上の滞在は避けること。 

 ※魔動機・魔法生物には特に影響が強いため持ち込むさいにはくれぐれも長期滞在しないように。ルーンフォークも長く居させないようにしてください。』

と書かれた看板が。どうやら、アリオルが苦しんでいたのはこの部屋の装置が原因だったようです。

 

とりあえず部屋を抜け、休憩できる小さな小部屋に移動し、気分が収まるのを待ちます。ついでに救命草で体力の回復もしていきます。ちょろっとだけアレクはレンジャー技能を齧っているので、自身のけがを手当てするのでした。連戦やCPのようにセッションをまたいで複数日行動するケースがあると、レンジャーと草が輝きますね。とんでもなくコスパがいいものです。

小部屋からは二つの部屋につながっており、東側につながる通路から行ける部屋には何やら立派な魔動機や装備品、魔動機器が放置されている模様。ぶっちゃけると「トレジャーポイント」が付与された、エピックトレジャーのモンスターがここには待ち構えていました。

金に飢えたPL達は、涎をたらしながらこのモンスターに襲い掛かります。やっぱ金ってのは貴重なんです。とくにCPで消耗品をガンガン消費していったり、装備の更新費用が結構かさむので、すこしでもお金になるものはすぐさま回収していきます。

で、このモンスターなのですが、奇妙な多足の魔動機に翼のようなものが生えた魔動機。一体何者だ…? と思っていると、なんとサンダーバード『ドゥーム』がくっついた悪夢のような魔動機だという事が分かります。しかし、ドゥームの基部が重かったのか、サンダーバードを模した翼は空を飛ぶことがかなわず、また、サンダーバード部分から放たれる雷撃はドゥームの基部を損傷させる可能性があるという何ともちぐはぐなキメラ魔動機。どうやら、魔動機文明時代に試作されたもののようで、失敗作として後世には伝わっていなかった魔動機の様です。よかった……サンダーバードのように空を飛び、雷撃を放ちながらドゥームの対人兵器が宙を舞う、なんて地獄絵図が残らなくて。

さて、血の気の多い冒険者たちは2.0時代に散々レベル詐欺と呼ばれたモンスターキメラに襲い掛かります。まずは先制判定……ですが、相手の先制値はトレジャーポイントの「先制値上昇」が合わさり脅威の「20」! こちらのスカウト陣営も頑張りますが、12、11とまったく歯が立たず、ここは敵に先手を譲ることに。

敵の魔動機はずんすんと前進し、前衛のアレク、そしてダウレスのダルクと接敵! 乱戦が築かれます。サンダーバードドゥームは、とりあえずあいさつ代わりの対人兵器を射出! 乱戦にいるアレクやダルク、またセシリーやセシリーの魔導バイクなどを巻き込みながら、死の鉄片を降り注ぎます。ここではダルクと、セシリーの魔導バイク「ジャスティス号」が被弾! ダルクは8点、ジャスティス号は12点のダメージを負います。
さらに胴体は、備え付けの機銃でアレクに掃射を開始! 命中力判定を自動成功させる強さを見せるも、打撃点決定のダイスではピンゾロをだすという極端な出目によって、アレクに11点のダメージを与えます。
さらに今度は主砲がレンを狙い一斉に砲撃! しかしこれは外れ、レンを狙った砲撃はあさっての方向へ。
つづけて、サンダーバード部分はその魔動機の翼から強烈な電撃を発生させ、乱戦にいるセシリーやアレク、ダルクにジャスティス号を巻き込んでダメージを与えていきます。この攻撃によってジャスティス号は大破……! また、アレクも13点、ダルクも15点、セシリーも15点と甚大な被害を受けていきます。さすがエネミーと恐れられたサンダーバード… ちなみに、ドゥームの他の部分も電撃が誘電しダメージを受けているのですが、恐ろしいことに精神抵抗判定に成功し、半減ダメージをちょこちょこと受けるにとどまります。

これまでのセッション一緒だった愛車ジャスティス号」廃車のお知らせ……悲しいですね。しかし形あるもの、いずれは訪れる終焉です。因みにレンタルバイクだったの不名誉点が発生しますが、なんとか名誉点でうち消せたようです。よかったよかった。

さて、転じて冒険者たちのターン。

まずは愛車を失った悲しみのセシリーがキュア・ウーンズでセシリー・アレク・ダルクを回復。セシリーはHPを9点回復し残24点、アレク、ダルクもそれぞれ11点回復し、23、15点までHPを回復します。

つづいてアレクは薙ぎ払いですべての部位を相手にします、が……出目が振るわず、すべての部位がこれを回避! お、おいおい頼むよ!

しかし続く騎獣のダルクのテイルスイープが敵のすべての部位を一閃! 4部位中3部位にダメージを与えます。やっぱ騎獣が本体の可能性ありますね、これ!!
ダルクの強靭な尻尾は、胴体に4点、翼1に9点、翼2に10点で、残存HPは胴体35、翼1は16、翼2は13へと押し込みます。

ここで真打登場と言わんばかりに、レンが後方から駆け寄り強烈な連撃を叩き込こむ! 本来前衛の彼女ですが、敵の雷撃や対人兵器を回避するため、初手は後ろで待機していました。頭がいい!

レンは得意の連撃を翼2にすべて叩き込み、脅威の37点ダメージをたたき出します。一瞬にしてサンダーバードの翼は破壊され、粉々に砕かれていく……やはり恐ろしい…!

つづくナザラは、リピータークロスボウで砲塔を狙い射撃するも、思った以上に機敏な動きで連射された矢のほとんどを回避! 命中したのは1本のみで、ダメージは14点と伸びず! しかし、確実にダメージを蓄積させていきます。

再び敵のターンとなり、まずは対人兵器の雨が降る!
しかし、この攻撃にはダルク以外抵抗できず、セシリー、アレク、レンの3人がもろにその攻撃を受けてしまいます。セシリーは5点を受け残HP19点、アレクは7点をもらい残HP16点。レンは11点の傷を負い残HP15とダメージを負ってしまう……
つづいて機銃がその銃身をレンへと向けますが、ここでアレクの装備していた【アイソア―マスク】の効果で、同じ乱戦内への射撃を自身に誘引させます。この誘引、魔動機に効くのか怪しい感じはしますが、この時は誘引される裁定で進めました。魔動機文明時代につくられたマスクですし、機械ですらイラっとするほど憎らしい面をしているのでしょう。多分。アレクは8点の射撃ダメージを受け、残HPは8点まで減少。し、死にそう……!
続いて主砲の手番ですが、ここは弾を装填し手番終了。
翼は乱戦内からランダムに選ばれ、ここはレンを狙います。すでに片翼を失い、電撃を放つことができない翼の一撃は、身軽なレンを捕らえることできず宙を切る!

2ラウンド目後半、冒険者たちのターン。かなり追い込んではいるものの、冒険者たちも満身創痍……厳しい戦いが続きます。

まず先陣を切ったのはナザラのリピータークロスボウ。今度は圧倒的な命中値によって、放たれた矢のうち3発が命中! 12、11,6点となかなかに素晴らしいダメージを出し、29点のダメージを与え、砲塔は派手に爆発し機能を喪失! 沈黙します。

つづくレンは胴体を狙い連撃を加えます。すべての連撃が命中し、胴体に25点のダメージ! 驚異的な爆発力を誇る攻撃に、ドゥームもたじたじ……胴体のHPは残り10点まで減少。

最後、手番をもらいアレクは薙ぎ払いを宣言! 胴体と残された翼に命中し、胴体に12点、翼には15点のダメージを与えて、とうとう悪夢の魔動機は完全に機能を停止します。冒険者の勝利です!

 

勝利したものの、かなりのダメージを負い冒険者たちも休息が必要に。体力に魔力、補填しなければ、このあとの探索にも支障が出てしまいます。とりあえず、3時間だけ休眠をとることにし、眠る前にセシリーが全員にキュア・ウーンズをかけてできるだけHPを回復。レンが歩哨にたち、その間3時間を眠ることでHPを1割回復し、MPを5割回復させます。また、あらかじめ魔香草も使ってMPもケア。寝る前のお手入れは欠かせないのよと言わんばかりに、しっかりと回復。なかなかに冒険に手慣れてきた感じが出ていていい感じです。じっさい、冒険者たちが輪になって傷の手当てや魔法による状態異常の回復に努めていると考えると、すごく冒険してる感が出ますよね!

 

さて、ぐっすりと眠る我らをよそに、唐突にそいつらは現れました。小さな小部屋に鍵をかけ、一応歩哨を立てた上での安眠を妨げたのは突然の爆音! おそらくはノッカーボムによって扉が吹き飛びます。ちょ……そんな急に開けんでも!!

土煙が立ち込め、爆音に慌てて起きた我々夜露草の前には、フードローブ姿の怪しげな3人組。さらに、冷たい眼光を輝かせた、魔動機兵の姿もあります。その魔動機兵は、まさにアレクの夢に出てきた機体のミニチュア版で、涎をたらしながら寝ていたアレクもあわてて真顔に戻ることとなります。

怪しげな3人組のうち一人が、渋い男の声で「誰だ、こいつらは?」と残る二人へ声をかけ、「あれは"夜露草"。グレンを止めたパーティーなのです」と女の声が続きます。そして渋声の男は「なるほどな、例の……よしジェイド、さっそく戦闘テストだ。やってやれ」と、残るフードの男へと声をかけます。

ジェイドと呼ばれた男は、無言で前に出て夜露草の前に立ちはだかります。一気に緊張が高まるメンバー、「あんたら一体何者なんだ…!」とアレクが声をかけると、「それにこたえる義理はないな」と渋声の男が答え、ジェイドへ戦うように指示を出し始めます。どうやらこの男が親玉のようですね……

ジェイドと呼ばれた男は、「……アレク」と声をかけてきます。どうやら相手は、アレクのことを知っている知り合いの様です。何か過去を知っているのか…? 
「誰だ、お前は一体……なぜ俺の名前を知っている?」と声をかけると、その男はフードの隙間から顔をのぞかせ、興奮したように声を荒げます。その隙間から見えた顔は、アレクと同じティエンスのようで、若い男性の様です。

「アレク、なぜ人間なんかと一緒にいる。俺たちがされたことを忘れたのか!?」

「待ってくれ……一体何を言ってるんだお前は、俺たちが、されたこと……?」

と、アレクも困惑して言葉を返します。過去の記憶の一切を失っているために、何も思い返すことができないのが歯がゆいですね……!

ティエンスのジェイドは、「忘れたのというのか…?」とやや驚愕の表情を見せつつ、渋声の男が「今はこれを持ち帰るのが先決だ、仕事を忘れるな」とジェイドに指示。彼の手には、何やら袋に入った丸い球のようなものがいくつか伺えます。どうやら、彼らはこの玉を取りにここに潜伏していた様子。

「仲間に手を出すなら、手加減はできないぞ」とアレクも警告しつつ、セシリー、レン、ナザラも戦闘準備に。あいても「この後の計画に邪魔になりそうなものは、機会があれば排除しておくに限る…」とやる気満々の様子。ジェイドも覚悟を決めたのか、「行くぞ」と声をあげ、魔動機に手をかざします。すると、魔動機は怪しげなビームを発しながら起動、そして夜露草へと襲い掛かります!

 

さて戦闘開始! 敵は4部位の魔動機が1体、魔物知識判定・先制判定共に奪取し、序盤の戦闘状況を優位に進めていきます。高知力ライダーとスカウト二人は安定感が違いますね! どうやら敵の魔動機はアビスの力を得ているようで、「カテゴリ:魔神」としても扱える模様。セシリーの信仰するイーヴ様との相性も良さげです。きっちりキャラクターの相性に合ったエネミーが出てくるあたり考えられていますね……

第1ラウンド開始! まず先手をとって動いたのはセシリーで、パラライズミストAを相手の車輪部分へ投げていきます。そして【セイクリッド・オーラ】からの【セイクリッド・ウェポン】! 味方の命中力と打撃点を上昇させていきます。

続いて動いたのはアレク。マッスルベアー、キャッツアイ、ヴォーパルウェポンBなどを一気に自身へかけ、さらに【通じ合う意識】で同じ乱戦にいるダルクの命中・回避を強化していきます。そして薙ぎ払いⅠを宣言して、魔動機の右半身・左半身・車輪を纏めて攻撃! 命中は17と悪くない値だったのですが、なんと右・左半身は回避判定18と高達成値をマーク。車輪にのみHITし、12点のダメージしか与えることができません。

騎手に続けと言わんばかりにダルクも攻撃に転じ、【テイルスイープ】で4部位すべてを巻き込んで攻撃! こちらは敵の左半身を除きすべての部位に命中! 車輪に9点(残HP32)、頭部に8点(残HP52)、右半身に12点(残HP47)となかなかの破壊力を披露してくれます。やはりこちらが本体という説が濃厚になってまいりました。

ナザラはリピータークロスボウで魔動機の車輪部分を狙い撃ち。ブロードヘッドボルトを4発撃ちこみ、うち3発が命中! しかし固い装甲に阻まれ、13点のダメージ(残HP19)を与えるにとどまります。なかなかに硬い!

そして連撃姫ことレンも乱戦に入り、魔動機の車輪をめがけて猛攻を開始し始めます。3発の攻撃、しかし内1発をよけ、2発が命中! 12点のダメージ(残HP7)を与え、魔動機の車輪基部に致命打を与えていきますが……硬い装甲によって、ぎりぎり耐え敵のターンへ。

魔動機は近くにいるすべての人間に対して、テレパシーを発しその精神を乱します。精神抵抗判定に、ナザラ、ダルク、セシリーの二人と1体はこの魔動機に対して、あらゆる行為判定に-2のペナルティを負うことに。

魔動機の車輪は、奇妙にグネグネとスラローム駆動を開始し、右半身と左半身の回避力を底上げしてきます。右半身はというと、その手に持つ鉄の剣を赤熱させ、アレクへと襲い掛かる! この攻撃をアレクは喰らい、7点の防護点半減での炎属性物理ダメージを受けます。あつぅい!!(アレク残HP29)

さらに左半身は、ランダムにターゲットを選び、アレクへとその巨大なハンマーで襲い掛かりますが、命中力判定に自動失敗! その一撃は宙を薙ぎます。あ、あぶないあぶない……!!

そして頭部はというと、怪しげな光を零しながら、ナザラにビームを照射する! 空間を焼くような光がナザラを襲いますが、精神抵抗判定で抵抗したため、ダメージは半減。ナザラは8点のダメージを受けます(残HP20)

第2ラウンド目、最初に動いたのはセシリーで、パラライズミストAを右半身に打ち込み、回避力をさげつつ【モラル】を演奏します。相手は魔動機であるため、精神効果属性である呪歌の効果がなく、味方のみ命中力が上昇していきます。うーむ、賢い! しかも歌って味方の士気を高めるってなんかエモくないですか? バトルソングとかいいよね……何故あれが神聖魔法にあって、バードにないのかはラクシア七不思議のひとつだと思います。

続いてアレクが動き、再び車輪と右・左半身を狙って薙ぎ払いⅠを宣言。しかし、相変わらず左半身はいい動きでこれを回避! な、なんなんだお前は!! 無駄にいい動きしやがって! しかし、この攻撃によって車輪に7点のダメージを与え破壊! 右半身も7点のダメージ(残HP40)を与えて、削り取っていきます。

騎獣ダルクは右半身に噛みつき、11点のダメージを与え(残HP29)着実に追い込んでいきます。いい子いい子。

いい流れでシャープシューター・ナザラもリピータークロスボウで右半身を狙い攻撃! 2本の矢が右半身を貫き、16点のダメージを与えます(残HP13)
やっぱりリピータークロスボウいいですね、高い命中値を維持する必要と、大量の矢の消費に目をつむれば衝撃的な破壊力を引き起こすこともできそうです。雑魚戦は勿論、BOSSとの相性も悪くなさそう。

 続くレンも破壊寸前の右半身を狙い3連撃を叩き込みます。この攻撃は3回とも命中し、脅威の32点ダメージを与え、右半身は完全に沈黙……(残HP-19) 赤熱したブレードは冷め、その機能を停止させます。

第2ラウンド後半に差し掛かり、敵魔動機のターン! 残された左半身は、ハンマーを振り上げレンへと攻撃! 出目[5,6]で命中判定19という高達成値を記録しますが、レンも同じく[5,6]の出目をマーク、驚異的な一撃をすんでのところで躱し、レンはすり抜けていきます。急に達人同士の戦いが始まりましたね。

頭部は再びナザラにビームを放つものの、今回も精神抵抗判定で抵抗されたためにダメージは7点! ナザラのHPをじわじわと削っていきます(残HP13)

そしてうっかり忘れられていたテレパシーによる精神攻撃は、全員が見事に抵抗! 2度目はないとばかりに、鋼の精神で敵の攻撃をブロックします。いいね!

 そして第3ラウンド前半、PC達の手番。

初撃はレンの連撃がが、敵魔動機の左半身を襲い25点のダメージ!(残HP34)

つづくアレクの薙ぎ払いは不発に終わり、ダルクのテイルスイープが魔動機の左半身と頭部にダメージを与えていきます。左半身は残HP27、頭部は残HP39。

ナザラはリピータークロスボウで3本の矢を左半身に当て続け、ここで30点の大台ダメージをたたき出します。そしてとうとう、その攻撃で左半身も破壊!(残HP-3)

右半身と左半身が機能を停止したことにより、魔動機兵はその能力を停止します。割と防護点が高く苦戦する相手でしたが、連続した火力の集中運用でこれを撃破するのでした。

 

さて、撃破された機体を調べていくと、次のようなことが分かりました。

・機体は自動生成システムにより作られた新しいもの
・コアは昔のもので、あとからはめ込まれて起動したのだろう

どうやら、この魔導巨兵は生産工場としても現在機能しているようで、魔動機兵を産み落とし続けている模様。そして、動力源たるコアは後付けで、おそらくは先ほどのフードの3人組が取り付けたものだと推測できます。へへっ…金の匂いがしてきましたねぇ……

魔動機兵たちが来た側に進んでみると、奥に部屋があり、どうやらそこが魔動機製造工場の様子。あちこちを調べてみると、コア保存棚と書かれた棚からは、コアと思わしきものが奪い去られていることに気が付きます。また、魔動機の生産ラインは現在も稼働中で、どうやらどんどん産み落としているようです。

これ以上魔動機が増えて暴れられても困るため、冒険者たちは魔動機製造工場を破壊。かつ、金目のものが無いかを探索するというテロリスト冒険者とした行動で対応します。素晴らしい行動力です。

そして帰り道、ふと気が付くと通路に何かが落ちています。

それは、色あせた黄色の薔薇の花びら。冒険者たちはとある人物を思い出します。最初の依頼で館の地下から救出した黄色の薔薇の花を咲かせたメリアの女性。"リトルレディ"の友人であり、これまでにも冒険者たちのサポートをしていたとある女性。「アウレリア」の姿を。おやおやおや、どうやら話が込み入ってきましたね。

奇妙なもやもやを心に抱えつつ、夜露草は"箒とチリトリ亭"へ帰還します。そこで、待っていた"リトルレディ"ミレーネに事の顛末を話すと、さすがのミレーネもアウレリアの件については動揺を隠しきれません。ずっと、小さなころから共に育ち、心を通わせた親友がまさか悪事に手を伸ばしている可能性がある、という事実は残酷で、さすがのミレーネも年相応にうろたえた様子を見せてくれます。かわいいですね。

 不穏な空気を残したまま、魔導巨兵の探索は幕を閉じ、そして更なる混沌へと冒険者たちを叩き落す次のシナリオへとつながっていくのでした……

 

◆セッションを通じて感じたこと

明かされた過去、冒険者たちの心の在り方と、動き出した魔導死骸区の影──────

アレクの過去の一部が明かされ、謎めいたキャラクターであるジェイドも登場し、物語が一気に動きだすのを感じます。また、ナザラの過去に関わる話も登場し、それぞれの信じるもの、何のために戦うのか、そしてどこへ向かうのかをうっすらとではありますが意識し始めるきっかけになる。そんなお話でしたね。

また、別卓の私たちのキャラクターである『シュトラール』が登場したのも印象深く、世界がつながっている感じがしてちょっとほっこりしました。シュトラールが活躍したのは別の単発セッションですが、それも別のCPにつながっている世界の為、様々な垣根を越えて世界が一つにつながっているのを実感できます。こういう"つながり"が感じられる構成にしている部分もとてもいいシナリオ内容だと思います!

個人的には魔動機文明時代のオーバーテクノロジーが、大きく時代退行した現在に蘇り、脅威となって立ちふさがる、もしくは仲間となって共に戦う……という展開がかなり好きなので、過去設定もぐっとくるものがありました! ファンタジー世界ではありますが、こういったSFチックな設定もねじ込めるのがソードワールドのいい所だと思います。

さてさて、冒険者たちの目の前に舞い落ちた一つの花びら。

魔導死骸区の巨兵に潜んでいた謎めいたフードの男たち。

盗賊ギルドの上部からの謎の圧力と、重要な話が出てくる中、冒険者たちの進む先に光はあるのでしょうか……?

『魔導死骸区シリーズ』第三話と、最終話の感想に続く!