月夜の狼亭

TRPG活動に関してのあれこれを書き残すための場。SW2.5自キャンペーン「300年目の英雄譚」に関して中心となります。

SW2.5キャンペーン_七葉GM『魔導死骸区シリーズ』感想(第3話~最終話)

どうもお久しぶりです、とたけです。前回の更新日時1月26日て私はそれまで何してたんでしょうね?

今回も、タイトル通り七葉さんGMで開催していた『魔導死骸区シリーズ』その第三話から最終話までを振り返っていきます! なお、最終話があったのは2020年1月19日。優に10か月越しの卓感想という……早くまとめろよ私。

なお、前回までの内容はこちらにまとめられています。言わずもがな、シナリオ内容をがっつり記載していますので、ネタバレお断りな方は見ないことをお勧めいたします。

https://totake00.hatenablog.com/entry/2020/01/26/211539

 

  • 第3話「裏切りの薔薇」

◆ざっくり振り返り

ていうか、タイトルから不穏すぎないかい……?
4回目、最終話を目前に控えたこの魔導死骸区CPも、どうやら佳境に入ってきたようです。タイトルから察せる通り、なにやら不穏な空気……“夜露草”は、目の前の難局にどう立ち向かっていくのでしょうか。

 

さてオープニングシーンから。前回魔導巨兵の中の大冒険から一夜明け、夜露草のメンバーがそれぞれの時間を過ごしているところからスタート。まさかの個別OP&同時進行という高度なGMパワーを使ってきます。この七葉GM……できる!!

 

  • セシリーのOP

セシリーのOPは、彼女がおニューのボードを磨いているところからスタート。そういえば、ジャスティス号前回の戦いで大破していましたね……(第2話戦闘シーン参照)ライダーの操る騎獣の中でも、魔動機系はHPが0になると、破壊されてしまうのがネック。尚、ライダーズギルドからのレンタル品でしたが、無事(?)名誉点を支払うことで不名誉称号は回避した模様。で、新しい相棒をピカピカに磨き上げているところに、リオルさんが訪ねてきます。何やら話がある様子……

どうやらリオルさんは、ハ―ヴェス王国の冒険者ギルドで新人冒険者の募集をしていることを知らせに来てくれたらしい。環境もよく、仕事の裏どりもしっかりとした、この魔導死骸区とは異なる、正規の冒険者になる道です。

唐突な申し出に、困惑するセシリー。外の世界、憧れの英雄たちや安定した収入。何より、より安全な環境に心惹かれていきますが、リオル兄ぃと会えなくなると、その申し出を迷ってしまいます。そうだよね……セシリーから見たら、まさに兄同然の人物。あれほどまでに慕っていた人と会えなくなることは、かなり辛い。

しかし、リオル兄はぐいぐいとこの提案を推してきます。セシリーが不安げに、
「な、何でそんなに押してくるの!? なにかあった!?」
と問いただせば、彼は観念した様子で、
「これ以上この魔導死骸区で起きていることに首を突っ込ませたくない、
 何かやばいことが始まろうとしていることが、わかるだろ?」
と答えます。

リオル兄ぃもまた、セシリーのことを大切に思っているのです。だからこそ、セシリーたちだけでも安全で、より豊かなハ―ヴェスの冒険者ギルドへ行かせようという魂胆だったようです。ホンマめっちゃええひとやん……

そのことに、セシリーも悩み一度皆に相談してみると、ここはリオルの提案を受け取ります。そして、「・・・リオルにぃは来ないの?」と、リオルに問いかけると、リオル兄ぃは少し迷った様子で「すぐに会いに行く」と答えるのでした。

セシリーもまた、迷った様子で
「また、死んでもいいって思ってないかな。
 一度死んだ身だからって、無茶しようとしてるよね」
と、リオルへ続けて問いかけます。リオルは「そういうわけじゃ……」と歯切れ悪く答えます。そして、彼が再び蘇った理由を話し始めるのでした。

「……泣いてるのが、聞こえた気がしたんだ。
 セシリー、お前が……あの時声も出さずに泣いていたお前が、
 わんわん泣いているのが」

と、彼は語ります。実はこの回答、セッションとセッションの間で、キャラクターの設定や他のキャラクターとの関係性を強化したり、NPCとの関りを深くする『幕間』という場所で語られた、セシリーの過去に由来していたりします。

セシリーはもともと、魔導死骸区の盗賊ギルドのボスの娘で、抗争に巻き込まれたことにより孤児となりました。彼女の父は、麻薬や殺人、奴隷の売買なども手掛ける悪人ではありましたが、それは一味に不自由をさせないための手段であり、それゆえに一味には慕われていた人物だったようです。しかし大きくなり過ぎた一味は目をつけられ、依頼を受けた冒険者たちによって壊滅。セシリーの父もまた、冒険者たちによって殺害されています。
しかし、彼女は子どもであり、そのまま捨てられ、孤児としてスラムで生き延びたのでした。ただただぼーっと、無感情に過ごしていたところをリオル兄ぃに拾われ、今に至る……という背景があったりします。

幕間の話は、じつはもっと深く、彼女が英雄を目指した話や、冒険者と悪人たちの対比についても書かれた、めっちゃいい話なのですがここは割愛! 詳細はPLのベーゼンさんにきくといいでしょう(丸投げ)

そんな背景もあり、セシリーは皆に幸せになってほしいと願う反面、自分自身は幸せになる資格がないと言い、またリオルもセシリー達には幸せになってほしいと願い、資格がないのは自分の方だというわけですね。くっそエモいわ。はぁ~~~~!!(クソデカため息

互いに思いあうが故に、互いが望まぬ方向に走りつづける。ある意味、呪いのような祝福ですね。素晴らしい。

最後は、「私のために生き残ったのならさいごまで責任取ってよね!」とセシリーはリオルに言い、リオルも少しふざけた様子でそれを受け止め、『遠吠えする狼』を象った封蝋のついた封筒を渡し、このOPは終了します。

 

  • レンのOP

レンちゃんのオープニングでは、彼女がお昼寝(?)をしようとしているところからスタート。なお、彼女の生活スタイルは、食料調達なら狩りをし、それ以外は基本的に寝ているらしい。実に狼っぽいですね!可愛すぎか??

そんなうとうとしているところで、やたらとがたいのいい、熊のリカントの男がレンのもとを訪ねてきます。「もしかしてレンちゃんかい……?」と尋ねてくるあたり、どうやら知り合いの様子。しかしレンの方はというと、どうやら見覚えがない模様。

熊おじさんは、「オルヴ・ヴェルストリリ」という名前のようで、レンの本来の名字である「ヴェルストリリ」出身のリカントであると告白します。レンがまだ小さいころに、どうやら交流があったようで、おじさんの方は覚えていたようです。

そして熊おじさんことオルヴは、レンがいなくなった後の村のことを語り始めます。かつて獣人狩りと称して虐殺と迫害を受けた村は、その後復興を遂げ始めているとのこと。

リカントという種族は、その見た目や性質から蛮族であるライカンスロープと混同されることもあり、特にこれは都市部から離れた地方や辺境で多く見られる様子。時には、街から派遣された騎士団や為政者らによって、『排除』されるような悲惨な事態もかつては起こっていたようです。それゆえに、リカントライカンスロープを強く敵対視しています。逆に、ライカンスロープリカントという存在がいるために蛮族内での扱いが悪くなり、リカントを特に敵対視している……かもしれません。

レンがかつて過ごした、ヴェルストリリの村もその憂い目にあった村の一つだったようです。その後誤解が晴れたようですが……失われた人命は戻ることはありません。

というか、獣人を排除する為政者とかマジ許せませんね??国ごと焼き滅ぼすべきだと思います(リカント過激派

……それはさておき、このオルヴは冒険者稼業の合間に、散り散りになった同族たちを探し、村に戻ってこれることを教えているようです。めっちゃいいひとやん……
レンに対しても、望むのであれば今すぐにでも村に送り届けようと提案してきます。

しかし、レンは「むかしのことは、おわった」と彼女なりに過去への決別を済ませている様子。すでに進んでしまった歯車を元に戻すことはできないと、子どもなりに認識しているようです。

ただ、「……わたしの、かぞくは?」とオルヴおじさんに問いかけます。おじさんは、静かに首を横に振り「すまない」とだけ答えるのでした。

それに対しても、「べつに、くまのせいじゃない」と、彼女なりに気を使った言葉を駆けます。この不器用で、実直だけどところどころ子どもっぽさが出るのが愛おしくて、儚くて、どこか悲しくなりますね……

オルヴおじさんは「また来るよ、村に戻りたくなったらいつでも言ってくれていいからね」と言い残し、その場を去っていきます。もし、悲惨な過去がなければと、思わざるにはいられません……

寂し気なおじさんの背中を見送りながら、レンのOPは終了します。

 

  • ナザラのOP

ナザラのオープニングでは、彼がマイ工房で過ごしているときからスタートします。ナザラの元に、懐かしい声と言葉で語り掛ける、エルフの女性が訪れてきます。
「ナザーランディア……なのかい?」と尋ねてくるその人は、まぎれもなく生き別れたナザラのお母さんでした。ナザラママ!!!(再会に歓喜して叫ぶとたけ

突然の出来事に夢か幻ではないかと目をこするナザラ。そりゃそうよね、生き別れ、過酷なスラムで生き続けた中での邂逅。驚きもします。ナザラママはナザラに駆け寄り、強く抱きしめ「夢じゃあ、ないんだね……ナザーランディア。あぁ、随分背が伸びたのね」と、壊れ物を扱うように、ナザラの頭の上に手を載せます。こういう親と子の再会系はね、弱いんですよ……私が。

ナザラもいろんなことが溢れ、言いたいこともあるけれど、泣きながらに母親と抱き合います。12歳だもんね、そりゃ涙も止まらなくなりますよ(深く頷く

しかし、この環境に陥ったこともあり、常にこの人物が本当の母親かどうか疑り続けるあたり、とてもナザラらしくていいですね……しかもそれに嫌気がさしていることも、それでも母だと思い縋りついて泣いてしまうところもナザラらしい。

お母さんの話によれば、他の家族の行方は分からず、なんとかナザラの居所を掴めたところらしい。しかし、一体どうやってこの場所を特定したのか……その答えは、お母さんの隣にいる、謎めいたエルフの男が握っていたのでした。

その男性、名前は『エシュト・アンダルト』という名前であり、司祭の見た星の導きに従い、お母さんを連れてこの地まで来たそうです。導きの星神ハル―ラ』の神官のようで、彼は司祭から預かってきたという言葉をナザラに伝えます。

『月満ちる夜に闇が空を覆う』……つまるところ、巨大な奈落の魔域が、このあたり一帯を覆い尽くす、という予言らしい。満月の夜は、今から10日後。そして、お母さんはナザラに「どこかに落ち着くまで、旅を共にしないかと」と言ってきます。当然、命を懸けてまで必死に探してきた息子を、危険な地に残したまま、なんてことができるはずもありません。

でも、ナザラは自らの意志でここに残り、戦うことを決意します。今度こそ、自らの意思で道を決めるために……

「俺は、自分の意志で決められなくて迷ったんじゃない、自分で二兎を追うと決めたんだ」っていう発言は、この物語でのナザラの、大きな決断だったと今になって思います。めっちゃええ子やん……(感涙

神官に連れられて立ち去る母親を見送るナザラは、力のない子どもではなくもうすでに一人の戦士へと成長しているのでした。といったところでナザラのOPは終了します。

 

  • アレクのOP

さて、マイキャラアレクのオープニング。一人で騎獣の世話をしているところから始まりました。ダウレスのダルクに干し草を与えているところに、黒髪で翡翠の瞳をしたティエンスの男性、前回の魔導巨兵の中で出会った「ジェイド」が訪ねてきます。うぉ!襲われるか……? と警戒してみたところ、どうやら相手は襲ってくる気配はない様子。どうやら、何か話をしに来たようです。

彼は、過去アレクと自身の身に起こった出来事を話してくれます。かつて、魔動機文明時代、アレクは新型魔動機の実験機パイロットだったこと。その実験機は、多くの人の心が入り混じったアビスコアを動力源とする、“アビス魔導コア”と直接つながることで稼働する魔導機であったが、多くの人の心とつながることで心身ともに疲弊し、ボロボロになっていったこと。そして、アレクの当時の恋人が、そのアビス魔導コアとパイロットの心理的負担を軽減する役目である”ナビゲーター”と呼ばれる者に志願したこと……

アレクは全く思い出せず、それらの話を信じることができません。「ナビゲーターになったという、俺の、恋人はどうなったんだ……?」と質問すると、ジェイドは「ナビゲーターは使い捨てにされる。パイロットと違い、替えが効くからな」と語ります。

ナビゲーターと呼ばれるものは、聞こえはいいもののもはや部品の一部であり、アビス魔導コアの一部に閉じ込められ、魔動機の機体を動かすときのみ目覚めさせられ、コアの狂気に直接晒される……とのこと。エヴァかな?? ティエンスということも合わさってシンクロ率高そう。

驚愕の事実に、アレクの心は揺れ動きます。「そんなこと……信じられるか」と言いつつも、想起されそうな過去に恐怖し、震えあがります。ジェイドはというと、それらの不条理に対する復讐……もっとももはや復讐する相手などいないため、“八つ当たり”といいながら、心の内に燃え上がる怒りをたぎらせているようです。そりゃそんな目に合えばそうもなりますわな…… 

「復讐はなにも生まない!」というセリフはよく聞きますが、復讐する人間からしてみればそんなことはどうでもよく、「復讐したら超気持ちいいじゃん?」というシンプルな答えに従うのみだと思います。

彼の言葉に、アレク自身も心の奥底に、燃えるような怒りがくすぶっていることに気が付き、ジェイドは“俺と一緒にこないか?”と、共に復讐の道を歩むように迫ります。その言葉に一瞬心奪われるアレクですが、この魔導死骸区一帯に、大きな被害が出ることも同時に知ってしまいます。

どうやら、ジェイドの思惑とは別に《血の嵐》なる別の計画が動いている模様。もし一緒に来るのであれば、仲間であるセシリーやレン、ナザラは見逃すように手はずすると約束をしてきます。その言葉に、アレクは「もしジェイドの言うことが本当なら、俺はお前についていこう」と条件を飲むのでした。

ただし「すこしだけ考えたい」といい、ジェイドから3日間の猶予をもらいます。ジェイドは満足したのか「いいさ。……またお前と戦えるなら、十分」といって去っていきます。なかなかにシリアスな空気。下手にネタ突っ込んだら殺されそうですね。

そう言い残したジェイドの背中を見送り、アレクのOPは終了します。

 

 

4人同時のタブ進行、恐れ入りました……! テキストセッションだと、RPなどを一斉にしてもかぶらなかったり、データとしてのこる(=こういう感想を書きやすい)というメリットがありますが、同時に時間がかかるというデメリットもあり、なかなか大変な面もあります。特にGMはすべてのPCやNPCの行動に対応しながら情報を流す必要があるので一番大変なわけですが、それを4タブ同時進行でやるのはかなり大変なんですよね(やったことはあるが、事前準備やらで結構な労力を割く)

ただ、個別のイベントってそのキャラクターの持ち味100%染み出るので、とっても好き……やるのはもちろん、見るのも楽しい!ので、やっぱりこういうイベントがあるとPLとしてはうれしい限りですね!!

 

さて、各自OPが終了後、つづいてアレクの個別シーンへと移りました。なにやら、夢を見ているシーンから。夢の中で、アレクは過去に戦いに身を投じ、そしてその時受けた喪失感、怒り、憎しみと、大切な「彼女」を失ったことを思い出します。まるで誰か別の人の意志のように、破壊を進める甘美な声がアレクの脳髄を突き刺すのですが……

そんな彼を引き留めたのが、小さな耳飾りの片割れ。

アレクが目覚めたとき、唯一持っていたそれが夢の中に現れ、大切な記憶を取り戻します。それは「彼女」と一緒に、この耳飾りを買い、一つずつわけあって持っていたこと。どれだけ離れていても、一緒にいると約束した遠き日の出来事。

ふいに彼女を近くに感じ、夢の中で振り向こうとするアレクに、彼女が囁きます。
私はもう、魔動機の中の憎しみに捕らわれてしまった。アビス魔導コアの中に、と。
だからもう、あの魔動機には乗ってはいけないと、彼女は伝えてくるのでした。

 

まっさらな過去しかなかったアレクにとって、再び生きるための原動力を得た大切なシーンでしたね……記憶のないキャラクターって、今を生きるための理由が過去を探す、とか自分が何者だったのかを知るっていうのがやっぱ王道なんだと再確認した瞬間でもありました。キャラシを作製した時にアクセサリーとして持っていた耳飾りも、こうして過去の彼女とのつながりとしてシナリオ内で拾ってもらえたりすると、やはりうれしいですね…!

 

そうして、シーンは現在へ。4人がそろい、それぞれにオープニングで得た情報などを交換していると、ミレーネお嬢様の護衛をしていた人物が我々の元に駆け込んできます。慌てている彼に何事かを問うと、なんとそのお嬢様が何者かに連れ去られたというのです。護衛なにしてたのよ!!

しかし、話を聞いてみるとどうやら事はかなり深刻かつ、かなり根が深いようで……
お嬢様を攫い、またお嬢様配下の工房を襲撃して、調査中だったアビス魔導コアを奪取していったのは、なんと彼女の友人であるメリアの女性「アウレリア」だというのです。「裏切りの薔薇」……速攻でタイトル回収してきたぞ!

情報を集め、彼女たちの足跡を追うと、地下へと続くアジトへの入り口を発見。お嬢様の護衛から“お嬢様の救出”を正式な依頼として受諾した“夜露草”は、注意しながら地下のアジトへと進んでいくのでした。

 

地下はかなり深く、それでいてかなり入り組んだ地形の様子。尚、実際の卓での探索では、GM七葉さんよりMAPが用意され、ダンジョンアタック形式で各エリアや気になる点を調査していきます。こういう冒険感あふれるダンジョン探索いいですよね…!
罠やお宝、待ち受ける敵や情報を集めながら奥へ奥へと進む感じは、どこか懐かしさを感じさせつつも、いつだってスリルを与えてくれます。RPGの原点といってもいいのかも?

地下に入ってまず行き当たったのが、巨大な地底湖。そこは深く、しかもよく見てみれば、巨大な生物が暴れ泳いでいる様子……これは下手に泳いだらえらいことになりそうです。しかし、よく見てみると地底湖を泳いでいるのは幻獣種の「カマウェト」とであると判明。本来なら温厚な幻獣であるため、意思疎通ができるかも…? と、作戦会議が始まり、最終的にアレクが「通じ合う意識」で語り掛けることに。すると、どうやらカマウェトは体のどこかに棘がささり、痛みで暴れている様子。
そのことを知ったナザラが、暴れる幻獣にひらりと飛び乗り、うろこの隙間に刺さっていた棘を引き抜いてあげます。カマウェトもこれに気が付き、落ち着いた様子でお礼をいい、なんと対岸まで載せていってくれるとのこと!
人(?)助けはしておくものですね!

対岸に渡った後は、休憩などを挟みつつさらに奥へと進みます。すると、人工的な扉や掘削された通路などが見えてくる。どうやら本格的にアジトへと踏み込んだ模様。また、どこか遠くから大勢の声や気配を感じるなど、緊張感が高まってきます。

やがて道がふたつに別れ、片方は先ほどの大勢の気配が漂う方面へ伸びており、もう片方からは強烈な悪臭が漂ってきます。ひとまず、悪臭漂う通路の方へと進むと、どうやらその先はアジトのごみ溜めだったらしく、骨や革、排せつ物に死骸などが大量に散乱しています。地獄のような汚部屋だ……!

しかし、よく見ると何やらごみの塊が動いている……なんとそれは体長1.5mほどはあろう巨大なダンゴムシしかもそいつが3体もおり、新しい餌が来たのかと思ったのか、こちらへずりずりと這い寄ってきます。ティエンスは硬いから美味しくないぞ多分!

 

というところで戦闘開始! 敵はピルバグ3体。そしてこいつらはエピックトレジャリーの魔物強化によって「世界の汚染」を取得しています。攻撃が当たってダメージを受けると、毒属性の魔法を抵抗:必中でばら撒く厄介な特殊能力ですね。

先制を無事PC達がとり一斉にピルバグへと攻撃しますが、この「世界の汚染」の爆発によってナザラに28ダメージ、レンが17ダメージと大ダメージを受ける!世界の汚染に追加ダメージはないのですが、3回転1回転という大回転を見せ付け、手痛い反撃を受ける形に。
しかし、初手の1ラウンド目でピルバグ2体を打ち倒し、冒険者有利へと戦況は傾いた……と思っていたら、ここで真打登場!

足元のごみが揺れ動き、巨大なピルバグの親玉が出現!乱戦のど真ん中に現れた巨大ピルバグは▶大暴れの効果で、部屋全体のすべてのキャラクターに無差別攻撃を仕掛けてきます。この攻撃で、なんとナザラのHPが-11に! しかし生死判定は[6,6]のぞろ目でHP1で耐える! 強い意思を感じますね……!

続く2ラウンド目、冒険者手番でセシリーが回復魔法を使いますが…アレクとナザラのみピンポイントで自動的失敗! アレクはともかく、ナザラに死神の鎌が近づいてきます。これは冒険者壊滅わんちゃんありそう…と不穏な気配。

この手番で、冒険者側はまず小さなピルバグへと集中攻撃!最初にいた3体のピルバグを打ち倒し、残るはでかいボスピルバグのみ。

2ラウンド目エネミー手番では、▶大暴れを連続して使えないため、▶毒液大噴出で自身の存在する乱戦に毒液を発射。アレク、騎獣のダルク、そしてレンちゃんに毒液を吹きかけますが、3人ともHPには余裕があったためこれは耐える!

3ラウンド目、PCターンでは反撃開始とばかりにレン、アレクが猛追をかけ、なんとか敵のHPを1まで削り、最後は大ダメージを受け瀕死の重傷を負いながらも立ち上がったナザラが、💬牽制攻撃によるクロスボウの射撃でボスを撃破!
非常にスリリングな戦闘となりました! いやー危なかった……

冒険者たちは不衛生で危険な場所から退避し、安全が確保できた場所で再び休息をとることに。体力を回復した我々は、今度は大勢の気配のする通路の方へと、慎重に進んでいきます。

 

進んでいった先にはたくさんの蛮族たち……そのリーダー格と思わしきディアボロの男性が演説をしています。内容は「5日後にここを立ち、魔導死骸区を新型の人型魔動機に乗って蹂躙した後、ハ―ヴェスなどの近隣諸国を襲撃する」とのこと。その日付はナザラが謎めいたエルフから聞いていた巨大な奈落の魔域が発生する日と合致します。
そして、彼らはそれを《血の嵐》と呼んでいるようです。そう、アレクのOPでジェイドの言っていた、彼らの目論見とは別に動いていた計劃、それがこの蛮族たちの計画だったのです。

これはとたけがGMを行っているキャンペーン「300年目の英雄譚」のお話になりますが、6年前に《嵐の季節》という名前の大規模な蛮族たちによる襲撃事件がハ―ヴェス近郊を襲ったという設定があります。その時、冒険者や軍隊が動き蛮族の大軍団を討滅したのですが、それでもすさまじい被害を生む結果となっています。
彼らの《血の嵐》は、人々が《嵐の季節》とよび、「季節のように過ぎ去るもの」と呼んだそれが間違いであり、再び破壊と混沌をもたらす巨大な嵐を巻き起こすことを目標としているようです。
どうやら、とんでもない計画が足元でうごめいていたわけで……冒険者たちは事の大きさに戸惑いながらも、さらにアジトの調査を進めていきます。

 

最奥へと進むと、そこは誰かの書斎があり、調度品からそれなりに身分の高いものの部屋だということが分かります。そしてその部屋で「ミレーネお嬢様のお兄さん」の名前が記された日記帳が見つかるのです。そして、その日記はどうやら、ミレーネについて記された日記帳であるとわかるのでした。

ミレーネの兄は、兄妹の関係でありながらも妹に恋をしていたようです。禁じられた恋、しかし日に日に募る恋心は、ある時を境に妄執へと変わっていきました。
それが、彼が「紅のしもべ」と呼ばれる魔神を崇める教団に所属し始めたこと。破壊と混沌、人の死と血と暴力を肯定し、溢れさせる邪教です。
そして、これを契機に彼の妄執はさらに増し、彼の思想は壊れていきます。

「妹に恋するのが許されないのであれば、許される世界に変えてしまえばいい」

そうして、とうとう彼はミレーネに対して凶行を働くようになってしまったようです。

なお、この時のPCの発言とPLの感情は皆一致していたようで、一様に「うわぁ……」「気持ち悪」と見事に同じリアクション。そりゃそうだわな!

そんなリアクションと声を口々に上げつつ、隣の部屋を探索すると簡素な白いワンピースを着たミレーネを発見!彼女はベッドに腰かけており、かなり憔悴した様子。夜露草の面々を見て、ふらふらと立ち上がり、声をかけてくれますが、心身ともに弱り果てていることが伺えます。彼女を支えつつ、脱出を図るメンバー……ですが、そうは問屋が卸さない。

紫の長い髪に、黄色の薔薇を咲きほこらせるメリアの女性。ミレーネの従者であり、友人であり、そして彼女を攫った張本人、アウレリアが立っています。そして、彼女の足……いえ、下半身は奇妙に変形し、そこには美しい白い足ではなく、無数に棘の生えた茨と蔓が不気味にうごめいているのでした。
アウレリアは妖艶に微笑みつつ、「この子たちが、血が欲しくて仕方なくて」と言いながら、冒険者たちに襲い掛かります!

 

さて戦闘開始! 今回の敵はオリジナルエネミー。七葉GMお手製の敵ですね。

yutorize.2-d.jp

レベル7で、4部位のモンスター。蔓に物理攻撃を受けると「子株」を産み落とし増殖するという面白い能力を持ったエネミーとして登場します。そして、彼女のカテゴリは「魔神」 ……やはりというか、彼女は最初から裏切るつもりで接触してきたのか…?

 

1ラウンド目、先制を取った冒険者たちはいっせいに攻撃を開始。アウレリアのコア部位である胴体を含めつつ、セシリーは【セイクリッドオーラ&シールド】で防御力を底上げ、レンは3連撃を加え、アレクは騎獣のダルクと共に薙ぎ払い&テイルスイープの範囲攻撃、ナザラもリピータークロスボウで胴体へ4連射と火力を投射します。
このラウンドだけでも、アウレリアのHPの半分近くを削り取ることに成功!

1ラウンド目、エネミーのターン。アウレリアはツタを操り、アレクとレンに巻き付こうと試みます。高い敏捷を誇るレンはこの攻撃を軽々と回避しますが、回避力に劣るアレクは被弾し、10点のダメージを受け巻き取られてしまいます。
さらに、胴体は【フォビドゥンマジック】セシリーの3レベル以下の神聖魔法を封印!的確に回復を制限して、冒険者たちをじわじわと追い詰めてくるようです。

2ラウンド目、回復を制限されたPC達は、HPが削られる前に削り取る速攻戦術でアウレリアを堕としにかかります。まずはセシリーが【セイクリッドオーラ&ウェポン】で攻撃力を大幅に強化! つづくナザラの攻撃で、アウレリアは回避力判定に[6,6]のぞろ目を出して自動的成功を勝ち取った……かのように思われましたが、ここでアウレリアの特殊能力「◯色あせた薔薇」の効果によって自動的成功が自動的失敗へ!
なんて悲しい能力なんだ……
ナザラの連射を、ツタでかばいながら防御するアウレリアでしたが、続くレンの連撃に大きくHPを削られ、最後はアレクが薙ぎ払いによって胴体、子株などを纏めて破壊し、戦闘に勝利します!

冒険者たちはアウレリアを打ち取り、アウレリアは地面に崩れ落ちます。生気を失った花のように、黄色の薔薇はしぼみ、枯れ、色あせていく。
アウレリアは最期「さよならなのです……」と、小さく声を上げて息を引き取ります。

敵対したものとはいえ、ミレーネの前でその親友を打ち倒す。このことにセシリーは何が正義なのかと問い、そしてナザラもまた気が引けるといった様子。レンは二人とは対照的に自身を、そして仲間を守るための最善手を打った。というリアクションで、それぞれのスタンスや考え方が如実に表れていますね。

 

さて、ミレーネを連れ危険なアジトから地上へと無事に脱出! しかし、地上は地上で、さらなる異変が冒険者たちを待ち受けています。外の世界は今は昼頃、まだ太陽がさんさんと輝いている時間のはずが、月のない闇夜の如く、深淵の闇に包まれた魔導死骸区がそこには広がっています。
奈落の魔域の中ではないようですが、あたりにはそれと似た空気が漂い、住民たちも恐怖に満ちた表情。とりあえず、依頼の報告をするためにいつもの酒場へと駆けこむことに。

ミレーネを引き渡しつつ、これまでの経緯を報告し、そしてミレーネから近いうちに最後の依頼をお願いすると告げられます。大切なものを守るため、己の矜持を貫くため、二度と同じ過ちを繰り返さぬため……PCたちはそれぞれの思いを言葉にしながら、次なる、そして最後の戦いへ思いをはせるのでした……!

 

◆セッションを通じて感じたこと

今まで点と点だったものが、急速に繋がり線となる感覚……それに近いものを感じましたね。魔神の復活を望む「紅のしもべ」と、再びの破壊と混乱を望む蛮族たち。彼らの利害が一致し、それが最悪の結果となって実現しようとしている。

結末を知っているので言える面もありますが、七葉GMの語る、おどろおどろしい絶望の渦がまさに大きな音を立てながら回転し始めるのを感じます。スラムの、英雄に憧れていた純朴な子どもたち。それが、まさに今英雄となれるかどうか、人と、英雄との分岐点に立とうとしている。キャンペーンならではの大きな問いかけの一つであり、成長を感じさせる瞬間でもあります。やっぱりこういう、世界を巻き込むとか、大切な何かを懸けて、守るために、とかいうのは燃えますねぇ!大好きです!

さて、彼らの進む道の先には一体何が待ち構えているのか……

 

  • 最終話_紅の嵐を超えて

七葉GMキャンペーン、『魔導死骸区気シリーズ』のラストを飾るシナリオ。2019年11月10日から2020年1月19日の期間に5つのシナリオを展開したこのキャンペーンも、とうとう最終話を迎えました。ほぼほぼ2か月で5シナリオ(5セッション)を実施してきたので、大体1か月に2~3回開いている計算ですね。比較的かなり高頻度に開かれたキャンペーンでしたね!

さて、実はこの最終話が開かれる前、GMから最終決戦の難易度についてアンケートがDiscordで取られていました。

最終回のバトル難易度を調整するため、アンケートにご協力ください。
下記の3つの中から希望の地獄度を教えてください。
もしくは七葉の参加したセッションの中でのあの戦闘くらい、みたいな例があれば教えてください。
煉獄……緊張感のあるバトルです。生死判定:0~2回くらい?出目が腐ったら死ぬかも。
地獄……苦しい戦いになるでしょう。毎ラウンド一人生死判定をふるくらい?全滅のビジョンが時々ちらつく。
奈落……絶望とひとかけらの希望。楽しいかどうかはもう分からない。

 

これに対するPL達の回答は、『「地獄~奈落」でいいんじゃね?』という強気回答。まさかこれが、のちの惨劇を産み落とすことになるとは、この時誰も思ってはいなかったのです……

 

さて、そんなことは知りもしないPC達は、奈落の魔域が発生するとされた一日前、“リトルレディ”ことミレーネに呼ばれ、“箒とチリトリ亭”へ。決戦前ということもあり、ミレーネが“夜露草”に御馳走をふるまってくれるのでした。それは、勝利の前祝いか、最後の晩餐か、ともかくスラムに棲むPC達からしたら、豪勢かつ豪華なお食事に沸き立ちます。そして、彼女の口から正式に“奈落の魔域”の破壊と、“紅のしもべ”の教団指導者の討伐が依頼されます。とうとう、本当に最終決戦というわけですね。

そしてその後、冒険者たちは最終決戦前、真っ暗な空に浮かぶ月の元でそれぞれの思いを語り合います。スラムの子どもたちだった彼らが、冒険者として歩みだし、そして今まさに、命を懸けた戦いを目前に、それぞれ言いたいことを言い合うのでした。自PCであるアレクは、目が覚めたとき夜露草に出会えたことを感謝します。もし、目が覚めたときに出会っていたのがジェイドだったら……その時はきっと、アレクは夜露草のメンバーとしてではなく、世界を滅ぼす魔神とともに、あらん限りの破壊を尽くそうと動いていたでしょう。

 

そして、“夜露草”は眠りにつきます。それが、最後の休息になると知りながら。

 

次に目が覚めたとき、魔導死骸区はまったく違う光景へと変貌していました。そらにはどこまでも遠い夕暮れが続き、紅い夜空が広がっています。そして何より、その空には不気味に赤く明滅する星々と異なる大きさの二つの月……そう、すでにここは魔域の中だったのです。

そして、遠くには見慣れない巨大な半球状の卵のようなものが。どうやらそこで、魔神は孵化する様子。もし最悪の魔神が完全に復活してしまえば、大きな被害がでることは間違いないでしょう。また、奈落の魔域に呑まれた町の中では、地下で見た魔動機を纏った蛮族たちが無差別に街を破壊し、逃げ遅れた人々を襲っています。

冒険者たちは、この魔域の元凶であると思われる”紅のしもべ”の教団指導者の元を目指し、一路その巨大なたまごへと向かいます。しかし、そう簡単に通してくれるわけもなく、冒険者たちの目の前に複数の影が立ちふさがります。

第二話の放棄されたコロッサスの中で遭遇し、地下の蛮族アジトで演説をしていたディアボロの男────その名をイスデガが立ちふさがります。そしてその隣には、巨大な魔動機に搭乗したジェイドと、彼らの部下と思わしき魔動機たちも見て取れます。

イスデガは冒険者の排除を、そしてジェイドはアレクと刃を交えるため。それぞれにそれぞれの矜持と都合を抱えながら最終決戦の第一幕が幕を開きます!

 

敵はディアボロ(イスデガ)2部位、ハンマーを持った魔動機、鳥型の魔動機(ジェイド搭乗)、そして砲台が2つとなかなかの陣容。こちら側も、魔物知識判定や先制判定に無事成功し、幸先のいいスタートを切ります。

1ラウンド目、冒険者ターン。初手でセシリーが動き、【カウンターデーモン】を行使。PTメンバー全員の魔神に対する生命・精神抵抗+2のボーナスを付与していきます。今回の戦いでは、イスデガ以外の魔動機たちは魔神の力を受けているようで、「カテゴリ:魔神」としても扱うことが可能なため、イーヴ神官であるセシリーのバフが大きな影響力を持ってきます。そしてその後、ナザラがノーマルクロスボウ《雷鳴の矢》を敵陣にシュート!イスデガジェイド聴力を奪い取り、行使判定に-2のペナルティを入れつつダメージを入れていきます。そして、敵がひるんだところへレンが突撃し、ハンマーをもった魔動機をこれでもかと殴り倒す!この攻撃で、ハンマー魔動機は完全に沈黙!最後にアレクと騎獣のベルル(今回のセッションからダウレス→ドラゴン・インファクトに変更)が、前線に突撃しジェイドへと襲い掛かりますが、アレクの攻撃は回避されてしまい、大きなダメージを与えるには至りませんでした。

1ラウンド目、エネミーターン。お返しとばかりに、ジェイドはアレクに対して、急降下攻撃を仕掛け、34点の大ダメージを与えてきます。防護点合わせても22点のダメージを受け、残HPは59⇒37まで減少。また、砲台の二つはセシリーに対して砲撃を開始!防弾加工のしてあるセシリーの鎧で軽減はされるものの、計18点のダメージを与え、残38⇒20まで減少!最後、イスデガはレンに対して💬全力攻撃を宣言しつつ殴り掛かりますが、これは軽やかに回避!最後にディアボロの能力である「魔眼」を解放し、アレク、レン、セシリー、ベルルにそれぞれ3点のダメージを与え、その分だけHPを回復していきます。

2ラウンド目、冒険者ターン。ここでセシリーが【セイクリッドウェポン】を行使!ダメージと命中力を底上げしてくれます。効果が発揮される相手だと輝く魔法です。ありがたい…! つづいてレンがジェイドに攻撃を開始し、3連撃すべてを命中させ、ジェイドに40点の大ダメージを与えます。これでジェイドの残HPは7!つづくアレクは💬薙ぎ払いを宣言し、イスデガの頭部・胴体・ジェイドを巻き込みつつ攻撃。これはすべて命中し、とうとうジェイドのHPを-16に! しかし、ジェイドは《不屈》の効果で気絶せずに立ち上がります。ベルルはイスデガの頭部へと噛みつきますが、これはかわされてしまう。ここで、我がPTの射手であるナザラが、新兵器ボルツスウォームを構え、12本のボルトを一斉掃射! ジェイドへ矢の雨を降らせ一気にHPを-31まで削り取り、《不屈》に失敗したジェイドを打ち倒すことに成功!

3ラウンド目、エネミーターン。ジェイドが倒され、大幅に戦力低下した敵ですが、イスデガは全力でアレクを攻撃してきます。頭部の噛みつき攻撃と、胴体の繰り出す💬全力攻撃に被弾し、20点のダメージを与えてきますが、前手番にヒールスプレーなどで回復していたため、アレクの残HPは44⇒24程度の減少で抑え込むことに成功!
後ろの砲台は追撃と言わんばかりに、アレク・レンに砲撃を打ち込みますが、奇跡的に二人とも回避!

3ラウンド目、冒険者ターン。敵もだいぶ削ってはいますが、こちらもそれなりの重傷。そろそろ決めたいところだが……まずはナザラが行動、再びボルツスウォームの12連射を今度はイスデガに撃ち込もうとしますが、ここで命中力判定に[1,1]!!
セシリーは、アレクに対して【キュア・ハート】を行使し、14点を回復。さらに装備品のホーリー・パロット》の効果で再び【キュア・ハート】を行使し追加で6点を回復。そしてダメ押しのヒールスプレーAで10点回復と、アレクのHPを54点まで回復させてくれます。すごい立て直し力…ありがとうセシリー!
アレク・ベルルのコンビも、イスデガの頭部めがけて猛追をかけ、計31点のダメージを与え、残HP29点まで追い込みます。このレベル帯の騎獣「ドラゴンインファクト」結構強いですのよね……
そして最後は、やはり近接格闘戦のプロ、レンがイスデガの頭部へ3連撃を見事に決め、計45点のダメージ! 猛烈な連撃をうけたイスデガは、冒険者たちの強さを認めつつ、その膝を大地に屈し、倒されます。戦闘終了!

最後まで戦いを求め、アレクと戦ったジェイドもまた、大地に倒れ、自PCのアレクは一つの目標を達成するのでした。彼を癒す手立てがあれば、もしかしたら違う展開が待っていたかもしれません。ですが、そんな世界線はなく、今目の前にはかつての同僚であり、友だったものが倒れています。そして、破壊されたアビス動力コアに捕らわれていた、アレクの「彼女」もまた、その役目を終えて魂が開放されて行きます。そこに最後に残ったのは、古びた耳飾りの片割れ……「彼女」もまた、最後まで戦っていたのかな……

かなり体力とマナを削ったため、魔香草・救命草で回復しつつ、中心部に向かうと、巨大な繭のような、卵のような奇妙な物体の側へとたどり着きます。頂上からは呪文を唱える音が聞こえてきますが、どうも中に入る手段が見当たらず、向こうが出てくるのを待つしかなさそうです。致し方ないので、休息を取りつつ、最後の戦闘に備えて準備を進めていく冒険者たち……

 

そして、とうとうその時が来ました。
大きな音共に、巨大なたまごにひびが入り、その隙間から真っ赤な手がするりと伸びてきます。卵の頂上のほうでは、未だに教団の指導者が呪文を続けているようですが、その声は歓喜の声へと変わります。魔神招来の儀式が完了し、彼の望む世界────血と、破壊と、混沌にまみれた世界が到来する。そう喜びの声を上げた次の瞬間、かれはするりと伸びてきていた腕に捕まれ、卵の奥底へと引きずり込まれて行きます。彼が最後に浮かべていたのは、歓喜か、恐怖か。それを知るすべは既になく、彼は彼らの掲げた教義通り、血と、破壊と、混沌の生贄として、魔神にその命を刈り取られるのでした。

そうして、現れた魔神は、巨大で赤い皮膚を持った女神にも、悪魔にも見える女性の魔神で、手に持った鞭を無造作に振り下ろすと、それだけで地面に巨大なひびが走り、建物は崩れ、切り裂くような旋風が巻き起こります。
その魔神は、冒険者たちを睥睨し、大きく裂けた口の端を吊り上げると、形容しがたい歓喜の声を上げて、再びその鞭を手にとるのでした。

そうして、人知を超えた破壊の魔神との決戦が幕を開きます。

 

今回の敵にして、キャンペーンを締めくくるBOSSはこちら!

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=VejS3g

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=CY87qp

 

かつて、大破局の際に出現し魔導巨兵と壮絶な打ち合いの末に相打ちとなった強力な魔神です。今回復活したのは幻影らしいのですが、それでも十分な破壊力と脅威度を誇ります。なにより、自分自身のアザ―ビーストを侍らせ、集団で冒険者に襲い掛かってきます。

 

敵の数は“紅の嵐”フラミラルベス(4部位)とフラミラルベスのアザ―ビーストが2体。魔物知識判定と先制判定には成功し、PC先制を奪取!


・位置関係
フラミラベル(4部位) ⇔ アレク・レン ⇔ セシリー・ナザラ・ベルル ⇔アザビ(2体)

1ラウンド目、冒険者ターン。
まずは初手セシリーが行動、【カウンター・デーモン】で魔神に対しての生命・精神抵抗力を+2するバフを全員に展開。乗り物のボードは、アザ―ビーストAに空気弾を撃ち込み、7点のダメージを与えます(アザビA 残HP30⇒23)
続いてアレクが前進し、フラミラルベスの足へと攻撃を行うも、これは回避されてしまう。騎獣のベルクは後方へと下がり、PTの背後に湧きだしたアザ―ビーストAに接敵、そのまま噛みつき17点のダメージを与えます!騎獣つよい!(アザビA 残HP23⇒6)
この流れにのりつつ、ナザラは12連射ボルツスウォームでフラミラルベスの足を狙って一斉射! 驚異的な命中達成値27をたたき出し、4回分のダメージを与えることに成功! しかし、高い防護点に阻まれダメージは伸び悩み、計22点のダメージを与えて手番終了(フラミラルベスの足 残HP125⇒103)
最後はレンが行動し、錬技を使いながらフラミラルベスの足へと連撃を叩き込む! 全段見事に当てていき、ダメージでは1回転を見せつつ計32点の大ダメージを与えることに成功します! さすがグラップラー(フラミラルベスの足 残HP103⇒71)


・位置関係【】内は乱戦。
【フラミラベル(4部位)・アレク・レン】 ⇔ セシリー・ナザラ ⇔ 【ベルル・アザビ(2体)】

1ラウンド目、エネミーターン。
地獄の始まりだ! とGMの雄叫びが響き、まさに本当の死闘がスタート。
まずはアザ―ビーストたちから行動し、すでに後方で乱戦を作っていた騎獣のベルルへ襲い掛かります。しかし、アザ―ビーストたちの攻撃は2回とも外れます。ベルルくん頑張ってる! 頑張れ!(他力本願)
つづいて、本体であるフラミラルベスの行動。まずは頭部が動き、「△≫呼び覚ます指先」を行使し、追加でアザ―ビーストを一体召喚します。さらに「▶凝視」を行使、レンをにらみつけ回避-2のペナルティ修正を与えてくる。うーむ、手ごわい……
さらに「◯限定二回行動」の効果によって「▶炎のブレス」で後衛にいたセシリーを焼き払います。この生命抵抗には成功しますが、セシリーは12点のダメージ(セシリー 残HP38⇒26)
さらにフラミラルベスの右手が行動。まずは鞭を振り下ろし、「▶地割り」を発動。攻撃対象を指定しないタイプの「形状:貫通」攻撃で、全員を対象に巻き込み判定を強いてきます。ここで、セシリー、アレク、セシリーのボードが巻き込まれ、それぞれに13点、15点、22点と大ダメージを与えてきます
(セシリー 残HP26⇒13、アレク 残HP59⇒44、ボード 残HP40⇒18)
ついでに、後方に待機していたアザ―ビーストも巻き込まれ結構なダメージを与えるフラミラルベスさん。さすが混沌の魔神……
(アザ―ビーストA 残HP6⇒-14、アザ―ビーストC 残HP30⇒10)
また、追撃の「◯限定二回行動」により、「▶一掃」の効果が発動。乱戦エリアにいたアレク、レンを攻撃し、アレクが被弾、10点のダメージ!(アレク 残HP44⇒34)
そしてまだまだ続く、フラミラルベスの足の行動!
足は「▶踏み荒らし」によって、再び乱戦エリアにいるアレクとレンへ攻撃を開始。アレクが被弾し、19点のダメージ!(アレク 残HP34⇒15)
フラミラルベスの左腕は、頭部の「▶凝視」によって回避力のさがっているレンへ連続攻撃を開始! しかし、これもまたレンは一撃目で回避しノーダメージ。


・位置関係【】内は乱戦。
【フラミラベル(4部位)・アレク・レン】 ⇔ セシリー・ナザラ ⇔ 【ベルル・アザビ(2体)】
※アザビ1体撃破

2ラウンド目、冒険者ターン。
敵のステータスが高く、かなりの苦戦を強いられる展開。特に低回避高耐久で耐えるアレクにとっては、高い固定値によるダメージ蓄積が洒落になりません。
先手はナザラが動き、ヒールスプレーAをアレクにまきつつ、再びフラミラルベスの足へ12本ボルツスウォームで一斉射! 今度は3回分のダメージを与え、20点のダメージを与えます(フラミラルベスの足 残HP68⇒48、アレク 残HP15⇒25)
連射に続き、連撃のレンが動き、フラミラルベスの足へ3連撃の構え! しかし、ここでフラミラルベスの足の回避力判定が高い出目をたたき出し、すべての攻撃を回避する事態に。これは、かなり厳しい戦いになってきました……!
アレクもまたフラミラルベスの足へ攻撃を行いますが……まさかのここで命中力判定[1,1]! 自動的失敗により、敵へ攻撃は届きません。なんてこった!!
そんなご主人様の気持ちを知ってか知らずか、騎獣のベルルは後方でアザ―ビーストCに噛みつき、見事これを撃破! 騎獣が本体だから!!
(アザ―ビーストC 残HP10⇒-2)
最後にセシリーの行動、敵の攻撃が尋常じゃなく痛く、かつかなりの高耐久であったため、長期戦を想定。【セイクリッドシールド】によって全員の防護点を底上げ!
さらにヒールスプレーAでアレクを回復してくれます(アレク 残HP25⇒35)


・位置関係【】内は乱戦。
【フラミラベル(4部位)・アレク・レン】 ⇔ セシリー・ナザラ ⇔ 【ベルル・アザビ(1体)】
※アザビ2体撃破

2ラウンド目、エネミーターン。
まずはアザ―ビーストの行動、なぜかすでに1体しかいないアザ―ビーストBは、目の前のベルルに攻撃しダメージを与えてきます(ベルル 残HP53⇒46)
そしてフラミラルベス本体、頭部は「△≫呼び覚ます指先」を行使しでさらにアザ―ビーストを呼び出し。そして「▶凝視」でアレクの回避力に-2のペナルティ修正を付与してきます。アレクはもともと回避力が低いため、これはOK!
さらに「▶瘴気の噴出」で後衛のセシリーへと攻撃を行い、14点のダメージを与えてきます(セシリー 残HP23⇒9)
そして、問題のフラミラルベスの右腕の手番。
「▶地割り」の効果を発動させ、冒険者へ全体攻撃! 巻き込み判定の結果、ナザラ以外の全員が巻き込まれる事態に。そして冒険者たちの回避力判定も全滅! 大打撃を受け、この攻撃によってPTのヒーラーであったセシリーが倒れてしまう!
(アレク 残HP35⇒22、レン 残HP53⇒39、ベルル 残HP46⇒25、セシリー 残HP9⇒-8、ボード 残HP18⇒-3)
セシリーは生死判定には成功するものの、気絶! これは壊滅がかなり現実味を帯びてきました……
しかし、追撃はまだまだ終わらない。追加行動で「▶一掃」を発動! アレクとレンへ攻撃を行い、アレクが被弾!(アレク 残HP22⇒7)
フラミラルベスの足がアレクへ通常攻撃を行い、こちらも被弾! とうとう、アレクも大地に膝をつき、倒れてしまいます。(アレク 残HP7⇒-6)
アレクも生死判定は成功しますが、気絶! これでフラミラルベスと対峙するのはレンちゃんとナザラ。あと、後方で頑張っていた騎獣のベルル。
そしてまだ行動できるフラミラルベスの左手が、レンへと攻撃を繰り出します……が、これもまた回避! 非常に敏捷度が高いのと、相手の能力が「◯連続攻撃Ⅱ」であるため、一撃を回避できれば全部避けられるという仕組み。ただ、一撃でも当たればおそらく消し飛ぶという、まさに命を懸けた回避になっています。


・位置関係【】内は乱戦。
【フラミラベル(4部位)・アレク(気絶)・レン】 ⇔ セシリー(気絶)・ナザラ ⇔ 【ベルル・アザビ(2体)】
※アザビ2体撃破

さて、地獄の3ラウンド目。冒険者ターン。
ナザラがヒールスプレーAでアレクを回復しつつ、アウェイクポーションで気絶を解除し手番を終了。(セシリー 残HP-8⇒1(気絶回復)、アレク 残HP-6⇒4(気絶))
気絶から立ち直ったセシリーは、【キュアハート】を拡大してナザラ以外の全員を回復! 威力表でベルルの回復だけ自動的失敗となるものの、PC達のHPを回復してくれます。(アレク 残HP4⇒24、セシリー 残HP1⇒18、レン 残HP33⇒50)
その後、レンがフラミラルベスの足に対して連撃攻撃。しかし、3連撃の内2回を回避されさほど削れず11点に留まります(フラミラルベスの足 残HP48⇒37)

なんとか冒険者たちも必死に耐えますが、すでに臨界点は超え、錬技などが切れ始めるこの時点でフラミラルベスは4部位とも健在、対してPC達は前衛アレクが気絶、残るは前衛レン、後衛セシリーとナザラの3名! かなりの窮地!


・位置関係【】内は乱戦。
【フラミラベル(4部位)・アレク(気絶)・レン】 ⇔ セシリー・ナザラ ⇔ 【ベルル・アザビ(2体)】
※アザビ2体撃破

地獄の3ラウンド目、エネミーターン。
アザ―ビーストB、Dがベルルへ攻撃! ですが、攻撃はしっかりと避けることに成功!因みにですが、実は正しいルール裁定では、騎手が倒れている場合、騎獣は何の能動的行動もとれず、それどころか棒立ち扱いとなり遮蔽としても扱われなくなります。そのため、本来はアザ―ビーストB、Dとベルルは乱戦が形成されず、後衛への道のりは丸裸状態。ですが、この時はうっかりかつ、すでに乱戦も形成されていたためそのまま座標を保持するものとして処理を行っています。
つづくフラミラベルの頭部の行動で、「△≫呼び覚ます指先」を行使、さらに追加召喚。レンへ「▶炎のブレス」で攻撃し10点のダメージを与えます。(レン 残HP50⇒40)
フラミラベルの右手は「▶地割れ」でPC達を全員巻き込み、レン・セシリー・ナザラ・ベルルにダメージ!
(レン残HP40⇒24、セシリー残HP31⇒16、ナザラ残38⇒15、ベルル残HP25⇒9)
さらに追撃の「▶一掃」でレンへとダメージ!(レン 残HP24⇒10)
そして、フラミラベルの左手が容赦なくレンへと連撃を叩き込み、3回攻撃のすべてを命中。ここにきて、レンもダウンし前衛が壊滅してしまいます……
(レン残HP10⇒0(気絶))


前衛は壊滅……残るは後衛のセシリー・ナザラと騎手を失った騎獣のベルルのみ。
対して相手のフラミラベルは4部位とも健在、背後にはアザ―ビーストが2体と完全な包囲状態……たとえアウェイクンで立ち上が他っとしても、MPリソースや敵の攻撃性能上、逆転がほぼほぼない、いわゆる詰み状態に。ここでPC達は選択を迫られます。一つは、玉砕覚悟で最後の最後まで戦い散る。もう一つは、背後のアザ―ビーストを殲滅し、一番逃げの目が高いナザラを戦線から離脱させる手。
幸いなことに、敵のアザ―ビーストは先の手番の「▶地割れ」に巻き込まれ、2体とも瀕死状態。セシリーのもつ残りのMPすべてを使用し、フォースを放てば排除可能です。ついでに、オブジェクトと化してしまった騎獣のドラゴンインファクト、ベルルに飛び乗って逃げるという演出もできそう……(GMと談義の上で許可をもらいました)

そして、我々は決意します。わずかな希望でもいい、生き残るための道を選ぼうと。

セシリーが残りのMPと魔晶石を砕き、背後のアザ―ビースト2体をフォースによって吹き飛ばします。そして、ナザラに向かって「ナザラ……逃げて……」と声をかける。
その声に、ナザラは「何で……なんで俺だけ…」とつぶやき、戸惑いますがセシリーに突き飛ばされてしまいます。
「ここにいても全滅するんだ! ……でも、ナザラが生きて情報を持ちかえればなんとかなるかもしれない……」
セシリーは叫びます。誰よりも英雄に憧れ、守りたいものを得た少女は、仲間を守り切れなかったことに悲痛な顔をしながら、しかし、最後の希望をナザラに託します。
「大丈夫ナザラ─────正義は勝つんだよ!」
そんな悲痛な思いを、戦士を志した少年に向かって叫びながら。
「俺は……お前らについていく資格はないってか……
 どうしたらいいかわからない、謝る、ことも……俺にはできない」
少年は炎に呑まれ、燃え盛る街で倒れた仲間を目にしながら、そして残された希望を抱きながら、ドラゴンインファクトに連れ去られるようにして、その戦場から飛び立ちます。“夜露草”の、最後の希望として。

飛び立ち、遠くへと消えていくナザラを見ながら、最後残されたセシリーは
「ナザラだから頼めるんだ……アビスコア、任せたから」
とつぶやき、狂喜に歪んだ魔神と相対し、そして────

 

どの程度時間がたったのでしょうか。10分か、1時間か。意識を取り戻したのは、全てが終わったあと。破壊された魔導死骸区で目覚めたのはアレクとレン、そしてセシリーの3人。スラムは完全に破壊されてしまっていますが、魔域は消え、蛮族も魔神もすでに居りません。ですが、地割れの後も、激しい戦闘の後ものこっており、体の残る痛みともまた、夢ではありません。
意識を取り戻したアレクは、
「皆……無事っ……ナザラは、どうした!?」
と、慌てた様子で体を起こしますが、それも酷い傷をうけ、うめき声を上げながら立ち上がります。
「ナザラは生きてるよ……最後に逃げてもらったの。
 アビスコア……破壊してくれたのかな」
最後まで戦い、そして魔神に倒されたセシリーも、酷い重傷を受けながらも上体をゆっくりと起こし、小さな声でそうつぶやきます。わからないことだらけで、何が起きたのか、何があったのかはわかりません。
「……まずは、どこかに、隠れる……全部、それから」
ふらふらと、小さな体を動かしながらレンが歩いてきます。どうやら、3人とも命だけは何とか無事だったようです。とりあえず安全な場所に隠れつつ、その身を癒す3人。生きていることが奇跡のような状態で、冒険者たちが息をひそめていると……

そこに、魔導死骸区の外から来たと思われる人々が現れます。エルフたちを中心にした集団で、どうやらこの惨状を聞きつけたのか、救助と探索を兼ねた救援チームのようです。そして、その中にナザラの姿を見つけるのでした。

「ナザラッ!!」
真っ先に駆け出すセシリー、それに気が付いたナザラは驚きと、歓喜と、そしてどこか辛そうな表情をしつつもセシリーを受けとめ、再び“夜露草”はここに集結します。
実は戦闘から離脱した直後、戦う相手を失った魔神は、自ら魔域を破壊して外の世界へと飛び立っていったのでした。その後、ナザラはハル―ラの神官と母に出会い、戦力を引き連れて再び戻ってきたようです。
しかし、ナザラもまた夜露草の3人は既に死んでしまったものと思っており、仲間の最期を知る気概で魔導死骸区へと戻ってきていたのでした。
そんな心境のナザラとの再びの邂逅、複雑な心境でしょうが、互いに生きていることを知り、心の底から喜びます。

 

─────“夜露草”
ブルライト地方は魔導死骸区のスラムで生まれた、冒険者パーティー
彼らはそれぞれに、過去に闇を持ち、複雑な生い立ちと、幾つもの苦境を乗り越え、出会い、英雄を夢見た少年少女たちでした。
ですが、現実はそれほど甘くありません。
選ばれた生まれもなく、秀でたスキルも、能力もなく。等身大の少年少女たちは、英雄という巨大な光に手をのばし、光に呑まれ、その身を焼かれてしまいます。
夜露に濡れた草花は、夜明けの光を見るには至りませんでした。

ですが、それでも救えた命も少なくはありません。
多くの人々を、奈落の魔域が発生する以前に避難させ、最後の最後まで戦い抜いた彼らは、間違いなく多数の人命を救えたことでしょう。
そして、夜明けを目指した少年少女たちは、いずれその光を目にするのでしょうが……それは今回の物語ではありません。

かくして、魔導死骸区を舞台にした冒険の物語は終焉を迎えます。
多くの血と、破壊と、混沌を産み落とした、奈落の魔神を世に残して……


◆ミニキャンペーンまとめ!

というわけで、はい全滅エンドです!フラミラベルさん強かった……
敵の能力が良く考えられていたのもありましたが、何よりPC達の出目が絶望的に低くてですね、アレクくんは2,3回ピンゾロをたたき出しています。戦犯じゃねーか!!

ここまでご覧いただいているのであれば詳細な振り返りはいらないかと思いますが、魔導死骸区を舞台に「魔神」とそれを信仰する「紅のしもべ」が暗躍し、かつての大戦で大暴れしたフラミラベルを招来しようとするお話でした。このキャンペーンは、とたけがGMをしている「300年目の英雄譚」というCPと並行する形で行われたキャンペーンであり、いたるところに300年目の英雄譚側PC達と、対比になるような個所があったりします。

例えば、「英雄」

300年目の英雄譚では、生まれも、出自も、そして実際の能力も英雄級の冒険者たちが、数々の冒険や依頼を通じて大英雄になっていく物語です。
それに対して、魔導死骸区のスラムで結成された“夜露草”は対極的で、うまれも能力も、出自も平凡(といっては失礼だが)で、彼ら大英雄に比べれば実力も劣ります。
そうした差から生まれるRPの差や考え方の違いというのが特によく表現されていたCPだったと今にして思います。

挫折を知らぬ英雄と、多くの挫折や苦難に直面し、惜しくも敵に敗れてしまった冒険者たち……最後の戦いは残念ではありましたが、対比として見たときに、ここの光と闇の差というのが如実に表れて、非常に締まったキャンペーンになったのではないでしょうか。ここから“夜露草”がどのような道を歩むのかは分かりません。力を磨き、実力をつけ、再びフラミラルベスと再戦するのかもしれませんし、安全なハ―ヴェスなどに移り住み、安定した職を見つけ、そのまま静かに暮らすのかもしれませんね……

◆自PC アレクについて

記憶を失ったティエンスの青年……それが実は、魔動機文明時代に、魔動機のテストパイロットであり、過去のいざこざから逃げて休眠していたティエンスだった。そこから始まる、ジェイドとの因縁と、その清算
PLも想定しないなかったほどに、少年漫画の主人公みたいな流れになってとても好きでした! 最後、敵に負けてしまうけど、きっと彼は魔神を殲滅するため、再び技を磨き、再戦の時を待つでしょう。そしてその後に、大切な人たちと残りの生涯をすごすのかなぁと思います。ティエンスだしね、魔神との因縁は必ず清算するでしょう。

実は“夜露草”のメンバーの中で一番の年長者ということもあり、仲間たちのことを、弟や妹のように見ている部分もありました。ただ、起きてすぐであり、仲間に入ったのが一番最後だったので、逆に一番の末弟のように扱われていたのは面白かったですね!

 

◆最後に

このリプレイ形式振り返り感想……キャンペーン終わってから10か月ぐらいしてようやく書きあがってるんですよね。遅くね? 本当にごめんなさい。
ソードワールドでPLとして参加する初めてのCPだったので、何もかもが新鮮でした!そして私のCPの合間に高密度なセッションをして下さったので、シナリオのアイデアや表現の仕方はとても参考になりました。本当にありがとうございました!!
特に、ダンジョンアタックの時の情報やMAPの見せ方、そして時間管理能力は七葉GMの右に出る方を存じ上げないほど。巧みで職人芸な部分を見せてもらえて、大変勉強になりましたね……私も精進せねば!

GMの七葉さん。そして、PLのはやみさん、じゃっくさん、ベーゼンさん。本当にお疲れ様&ありがとうございました! 超、楽しかったです!!