月夜の狼亭

TRPG活動に関してのあれこれを書き残すための場。SW2.5自キャンペーン「300年目の英雄譚」に関して中心となります。

300年目の英雄譚_序幕……その前の、前日譚。②

どうもこんにちは、とたけです。
この記事を書いている現在、なんとすでに『300年目の英雄譚』のキャンペーン終了しております。本当にお疲れ様でした!!(記事を書くのが遅すぎる)

というわけで、ここから先の記事は全て振り返りやまとめのようなものになっていきます。本格的なまとめはまだできてませんが……

そして、今回はこちらの記事の続き。このキャンペーンの入り口、序幕にあたる前のお話でめいエアル低身長レプラカーンと高身長ナイトメアのコンビ結成のお話!

300年目の英雄譚_序幕……その前の、前日譚。① - 月夜の狼亭

 

なお、PC&PLさんについては、こちらの記事をどうぞ!

SW2.5 300年目の英雄譚について - 月夜の狼亭

 

 

めい&エアル出会いの話。

 

ブルライト地方、ファーベルト平原南東部のエルフの集落にて……

 

レプラカーンの少女、めいは自身の出身地である「メイトルパの森」を離れた後、村を転々としていた。

最初は、”自分を知っている人を探すため”というのが目的であったが、最近の目的はなぜだか温泉探しがメインとなっている。

そんな彼女の耳に、ハーヴェス南東の森、そこにエルフが住む集落には秘境の温泉が存在するという噂を聞きつけ、温泉好きのめいは、それを聞きその集落へと向かったのであった────

 

「ウチの住んでた森とは似てるけど……やっぱ色々と違うもんやなぁ……
 てかここまで来たけど、集落に入れんかったらどうしよ。まぁそん時は……」
「(姿なき職人で入ればええか)」

迷いながらも森の中に進んで行くめい、しばらく歩いていると集落を見つける。

「っと……ここか? 無事について良かったわ。 ウチ完璧やん!! 
 それはそうと……誰に聞けばええんやろ。」

めいはキョロキョロとあたりを見渡す。
すると、その先に背の高い男性が驚いた様子で

『だ、誰……』

と、エルフ語で語り掛けてくる。

「(第1村人発見や!)」
「こんにちわー。その聞きたいことがあるんやけどええかな?」

めいは、その男性の前にたちじっと見つめると、

「え…と…なんでしょうか お客さん?」

と、今度は交易共通語で話し返してくる。どうやら、会話は通じるらしい。

「お客さんになるんかな……。うん たぶんお客さんみたいなもんや」

うんうん とめいは自身に言い聞かせ、

「少し温泉の噂聞いてな! この集落に泊まりたいなと思ってんねん。行けるかな……?」

と、旅の訳をその青年に話すのだった。
背の高い、フードを被ったエルフ語を語った青年は

「わからない…父さんに、話してみる」

と、とりあえずは村の者に掛け合ってくれるらしい。

「ホンマ!? おおきに!!」

めいはニコリと、花のような笑顔を咲かせた。

「せや 自己紹介がまだやってね。
 ウチの名前は”めい”って言うねん! よろしくたのむで」

「お、俺はエアル」

青年はエアルと名乗る。
二人は村の方へと歩きながら、互いのことを語りつつ、ふとめいがエアルの名前を口にし、

「エアル……エアルやね。 んー……風のエアーから来てるんかな?」

「わからない。そうかも」

と、語り合う。エアル自身、自身の名前の由来を父から聞いたことはなかったようだ。
またしばらく歩き、村へと進む。

セレノシルの村。ブルライト地方のファーベルト平原に位置する、エルフたちの村。
人工はそう大きくはなく、農業を中心に静かな営みを続ける、昔ながらの里といった村だ。目玉といえば、温泉が湧きだしているところだろう。

しばらくの滞在を許してもらうため、エアルが父に話す形で、村の者たちから許可を得る。あまり外界とはかかわりを持たないようだが、来訪者を無碍に追い返すほど排他的でもないようだ。すこしの間を置き、村の外で待つめいの元に、エアルとともに、彼の父であるエアシルフィルと名乗る男性が現れる。

「エアルのお父さんやね。 初めましてウチの名前はめいや。
 いきなりで申し訳ないけど、とても助かるわ。
 お手伝いなどなんでもするんで、よろしくお願いします」

「気になさらず。エアルネレイシス、お客さんを案内しなさい」

エアシルフィルは口数は少ないものの、好意的にめいを歓迎してくれているらしい。

「エアルネレイシス……エアルって名前長いんやね。エアシルフィルさんおおきに!」

「うん…正直、舌がからまる」

やや照れているような、こそっとつぶやいたエアルの言葉に、

「あはは! 流石に長いと噛んじゃうやんね。
 でも長いのってかっこよくて好きやわ。ウチも本当は長いんやでー」

と笑いながら、エアルと共に村の中を回るのだった。
セレノシルの村はそう大きな村でもなく、他の村人からは若干奇異の目で見られながらも、エアルとめいの二人はぐるりと村を歩き回る。そして、めいはお目当ての温泉へとたどり着くのだった。

「これがエルフの温泉────!? めっちゃええやん!! 」

めいは目を輝かせながら、

「エアル、入ってもええかな……?」

とエアルに声をかける。

エアルはうなずくと、この温泉の利用法を軽く説明したのちに、二人は別れた。
エルフの里にあると言われる秘湯に、ゆっくりと浸かるめい。長旅の疲れを癒しつつ、これまでのことを振り返りつつ、これからのことを考える。

しばらくのち、長風呂を楽しみ温泉から上がっためいは、温泉の入り口でまっていたエアルを見つける。どうやら、待っていてくれたようだ。長風呂だから家に帰っててもいいのに、と言ったのだが、彼は待っていてくれたらしい。お風呂上がりで、長い髪を後ろに纏めためいを見て、エアルはちょっとどぎまぎしながらも「お、おかえりなさい」と迎えてくれた。

「あれ? エアル待っててくれたん? めっちゃ待ったやろ……ごめんな。
 家でゆっくりしたり、友達とかと遊んでても良かってんで」

「別に、家ですることもないし……
 大人はいるけどともだちは……」

その言葉に、めいは首を傾げ、

「そうなん? じゃあエアルっていつも何してるん?」

「外を散歩したり…森の声を聴いて見なさいって、神官様には言われてるから」

エアルの言葉に、めいは

「仙人か!! そりゃ友達できひんわ」

ビシッっと突っ込む。

「……まぁウチも人のこと言えんけどね。
 って……神官様? エアルって神官なん?」

「まだ、修行中」

と、エアルは小さな声で答える。その回答を聞いためいは、

「外を散歩して、森の声を聞く修行……んー
 つまり割と暇人?
 その、エアルが暇なら、明日一緒に来てもらってええかな?」

「いいけど…」

「やった なら約束やで! ええと……」

と、めいは小さな手を出して、小指を差し出す。エアルは不思議そうな顔で首を傾げつつ、同じように小指を差し出す。

「あれ? 指切りげんまん知らへんの?」

エアルはこくりと頷く。

「えっとね、こうやって小指どうし組ませて……」

そう言いめいはエアルの小指とめいの小指を絡ませる。

「一緒に言うてな?」

初めてのことに、エアルはちょっとどきどきとしつつ、めいの言葉を真剣に聞く。

「指切りげんまんー♪ 嘘ついたらーボッコーボコー♪ 指切った!」

そういい 小指を離す

「明日来なかったらボッコボコやからなー!」

と舌を出しながら意地悪そうに笑う。冗談のつもりであったが、純朴は青年はどうやらこのことを本気だと思ったらしく、怯えながら

「絶対……絶対来る。これは、誓いなんだね……」

とかなり重く受け止めてくれたようだ。

「(そんな怯えんでも冗談やのに)」
「まぁこうへんかったら少し殴るけど
 誓いみたいなもんやね! この約束は破ったらあかんで」

こうして、レプラカーンの少女とフードを被る、謎めいたエアルの青年の一日が幕を閉じた。

 

翌日

 

約束通り、めいは指定した場所に時間通りに現れる。すると、そこには既にフードを被った青年────エアルが待っていたのだった。

「おはよーエアル! ごめん待った?」

駆けながらそう声をかけると、エアルは首を横に振る。

「えへへ なら良かったわ。んーとなー……今日は狩りに手伝ってもらおうとおもて。
 ほら、何もせず住まわせてもらうのもあかんやん? 魚かお肉か取りに行かへん?
 たくさんとって村の人に配れば、友達も自然とできるかもしれへんで。」

「なにを、すればいい?
 狩りなら、相談しないと…」

「エアルは外を散歩するのが趣味なんやろ? だから色々知ってるかなとおもてん。
 案内がメインやね。あれ 適当に狩ったら怒られるん?」

「うん……でも、許可は取れると思う」

といい、エアルは村の近くの森へとめいを案内する。広い森だが、定期的に狩人や村の住人が手入れをしているのか、さほど荒れている様子はない。二人は軽く話をしながら、森の奥へと進んでいく。

「そういえば、エアルってさ。
 いつもフード被ってるけどなんでなん?」

めいは、ずっと気になっていたことを口にする。出会った時からずっとフードをしているエアル。家の中ではさすがに外していたが、その時はめいのことを少し避けていたようにも感じる。

だが、エアルはめいの質問には何も答えずに、ぎゅっとフードを被り直し、無言で森の奥へと進む。

「(んー 嫌ならええか……)」
「じゃあ別の質問ええかな?
 エアルって……お肉とお魚どっちが好き?」

「……魚のスープは、好き」

「スープが好きなん?凝ってんなぁ、ウチ毎回焼くだけやわ。
 ならお魚とりにいこか?んー……
 やっぱイノシシにしよか。ウチお肉食べたい気分やわ」

と少し照れ笑いしながらイノシシを探しに向かう。エアルはというと、その元気の良さと明るさに流されてしまうのだった。エアルの案内の元、めいが地面に残ったイノシシの足跡を見つけ、徐々に徐々にと獲物の元へと近づいていく。そして、森の奥地でとうとうそのイノシシを見つける。

「いたね! よーし……」

弓も剣も持たないめいを、心配そうに眺めるエアル。そういえば、めいは一体どうやってイノシシを狩るつもりなのだろうか?
今まで特に質問もしてこなかったが、もしかしたら、高位の魔法でも扱えるのかも……

「エアル、危ないし待っといてな?」

「え、でも、めい、のほうが……」

そうエアルが言葉を告げる間に、めいは間髪入れずイノシシの元へと走り出す。イノシシは突然の乱入者に驚きつつも、すぐさまめいを敵だと判断し、その大きな牙を向けてめいの元へと走り出す。

危ないっ!

そう言葉が口から出る前に、めいはイノシシの牙を両手で受け止め、小さな体を滑り込ませるようにしてイノシシの胴体へと手を回す。そして、一体その体のどこにそんな筋力があったのか、不思議に思うほどの力でイノシシを抱え上げ、その頭を勢いよく地面にたたきつけるのだった。

見事なスープレックス……もとい投げ技(?)を極めためいが、気絶したイノシシを引きずりながらエアルの元へと戻ってくる。

「エアル見てや!! めっちゃおっきくないか!?」

誇らしげにイノシシをエアルに見せながら、めいは笑う。しかし、エアルはその両手から流れる血に気が付いていた。

「あ、ケガ…!」

「ケガ?手のケガか。
 思ったよりもあのイノシシ良いツッコミしてたわ」 

そう言うめいを他所に、エアルは目を閉じ集中しながら、めいの手に、自身の手を重ねるようにしながら、祈りの言葉を捧げ始める。初級の神聖魔法『キュア・ウーンズ』が、めいの手のひらの傷口をゆっくりと癒していく。怪我が治っためいは、目をパチクリさせながら

「え……エアルって魔法使えるん!?」

と驚いた様子で、エアルの顔を見れば、エアル自身も驚いた様子で

「で、できた……
 これが、初めて…」

と声を上げる。彼自身、初めて癒しの奇跡を成功させたのだ。めいはエアルの両手を掴み、ぴょんぴょんと嬉しさを隠さずに、

「エアルってすっごいねんな!
 怪我する前より綺麗なんちゃうかな……おおきにエアル!」

「お礼は、アステリア様に。
 神官様もそう言ってたから」

「アステリアさま……? そういや神聖魔法は神様のおかげで使えるんやっけ……?
 ほんなら……アステリアさま ありがとうございます」

パンっと手を叩き天上の神へとお礼を述べつつ

「伝わってるとええなぁ……なーエアルー、アステリアさまってどんな神様なん?」

「自然と共に生き、自由と自己責任が大事な…えーと
 強くてかっこいい、女神様だよ」

「それはそれはうん────ごっつ尊敬できるやん! 流石エアルの神様や!!」

と、にっと彼女は笑う。エアルもはにかみながら、神話の英雄譚のいくつかをめいに語り聞かせる。

「そうなんや……神話って割と奥が深いねんな。全然知らんかったから楽しかったわ。
 そろそろ戻ろか?イノシシも血抜きせなあかんし、それにエアルの師匠に魔法使えたこと伝えなあかんしね」

そうして、めいとエアルの初めての共同作業は幕を閉じる。森の奥で狩りを行い、猪肉を村の人々とわけあい、エアルが初めて神の奇跡を行使できたことなど、うれしい報告を村へと持ち帰る。このことが村の中で好意的に受け入れられたようで、結果として、しばらくの間めいはセレノシルの村に残り、エアルとともに狩りをしたり、釣りをしてみたり、景色のいい場所へちょっと遠出してみたり……二人だけの小さな冒険譚が幕を開いたのだった。

 

数週間、そんな毎日が“日常”となってきたころ。

 

「なーなー、エアルってさ……夢とかあるん?」

「夢…」としばらくエアルは考え込み、
「役に立てるようにならないと、とは思うよ。もうすぐ「大人」だし」

「……え?あれ……
 エアルって……未成年なん!?」

フードを被り、しかも身長がめいよりも高いエアルのことを、てっきりめい自身、同年代だと思い込んでいた。尚、めいの年齢は17才。レプラカーン的にも成年していることとなる。

「…次の春で、15」

「……ウチの方が年上やったんや。てっきり同年代だと思ってたわ」

「え」

「え? なんやその驚きは!!」 ぷくーと頬を膨らませる。

何となく、同年代か年下かと思っていたエアルは、
「あ、そうか。そうだよね。一人で旅とか、してたんだし」

「んー……よく間違われはするけど……ウチは17歳やで!!
 だからウチのがおねーちゃんってわけやな。
 えへへ、敬ってもええねんで」すこし嬉しそうに言い放つ。

「なーんだ、それならあんまり変わらないね」

と、エルフ的な時間間隔でエアルは答える。

「変わるからなーー!!
 まぁ話を戻すねんけど、エアルならきっと誰よりも役に立つというか慕われるで。
 魔法も使えるし……それにこんな優しいんや! うんウチが保証したる!」

びしっ!っとサムズアップしためいが笑顔で答える。その言葉にも、表情も純真で悪意はない。

「……でも、みんなとは俺、「違う」から……
 めいは、何か夢、あるの?」

「そうなん? まぁでも違うくてもええとおもうけど……
 せやね……それについて言おうと思って切り出してんけど
 ウチは小さい頃の記憶がないんよ。両親も自分の名前もわからへん」

突然のことに、エアルは驚いて言葉が出ない。

「なんか山の中で死にかけてたらしくてなー。
 ユニコーンのオッさんと妖精たちに助けられたらしいねんけど、
 その際に記憶がなくなったみたいや。
 だからな……いつか自分が誰なのかわかればええなーと思ってる」

「あ でも山の生活は楽しかったで! 自分が不幸だとかは思わんよ。
 んで、ここからが本題やねん。エアル
 ────大事な話やから聞いてもらってええ?」

先ほどの表情とは打って変わって、真剣な表情でめいはエアルに問いかける。

「ウチな、エアルと過ごしてる間に将来のこと考えててん。
 このまま温泉探したり、狩をする生活も悪くはないんやけど……
 やっぱり自分が誰かは知りたいねん。
 だからな、ハーヴェスに行って冒険者になろうと思う」

突然の言葉。
予想外の言葉に、少年はいやだ、と口に出してその言葉を思いとどまる。

「そっ、か…」

冒険者はきっと大変なことも多いやろうけど、人助けや蛮族退治や魔剣の迷宮。
 ワクワクすることがたくさん待っとる。
 ウチが有名になればきっと知ってる人が見つかると思うねん」
「だから、エアルとはお別れになるんかな……
 あのなエアル、ウチから一つだけお願いがあるんやけどええかな?」

「うん」

「……上むいてくれへん?」

一瞬、エアルの動きが止まる。素直に上を向くが、ずり落ちそうになったフードを慌てて抑える。

「動いたらあかんしなー……」

そう言った後、めいは突然フードを後ろにはたき落とす。

「エアル、空みてみ!」

「フード被ってたら下しか見えへんやろ?
 青い空やポカポカ太陽に、ふわふわ雲さん。遠くには鳥だって見えるで。
 前から思っててんけど、エアルは視界が狭いねん。 もっと広くみよか」

「う、うん」

エアルは、フードがずり落ち、その下に隠していた秘密がばれていないか気が気ではなかった。めいの言葉にも生返事であったが、次第に見上げた空の美しさに見惚れていく。

「みんなとは違うって言ってたけど、そのみんなってどうせ集落の中やろ?
 友達だってそうや」

めいは、んーと背伸びしながら

「エアル、下を向くより、上を向いた方が気持ちいいやろ?」

とエアルに笑いかける。

「てかエアルっていい顔してるやん。 隠す必要あるかー?」

「そ、そういうのじゃないし!」

エアルは、めいの言葉に慌ててかぶり直す。

「ぷっ……あははははは!!」

「な、なんでわらうんだよぉ…」

「いや ちょっとな────」
「エアル、フードを外して、明るくなればきっと友達だってすぐできるよ。
 それと、エアルの夢は、役に立つことって言ってたけどな、
 役に立つのも良いけど、ウチ的には良い夢やないと思う」
「誰かのための夢じゃなくて、自分のための夢やもん!!
 もっと楽しいことを夢にしよ!
 もしも 夢がないなら、広いこの世界で探しにいけばええねん!!」

翠の目をした少女は、手を大きく広げ、くるりと回る。
夢は誰かのためにあるのではなく、自分のためにあるものだと……
エアルは、自由なめいを見て小さくアステリアの聖句をつぶやく。

「汝束縛するなかれ、汝束縛されるなかれ…」

レプラカーンの少女と、エルフの……いや、ナイトメアの少年は、それぞれの想いを胸に、その日を迎える。

 

翌日。

 

めいはというと、旅の支度を終えていた。
しばらく分の食料に、野営のための荷物を大きなカバンに詰め込み終わり、村の人々やエアルの父、エアシルフィルに挨拶を済ませていた。

「エアルー」

めいは、エアルを見つけて声をかける。

「めい。……もう、行くんだね」

「いたいた! うんもういくで!
 お昼食べてからにしよか迷ってんけど、夜暗くなってからやと面倒やからね。
 朝に出ようおもて!」

少年は、意を決したかのように口を開く。

「父さん、めい、話があるんだ」

「話・・・?」

こくりと頷き、エアルは語りだす。

「俺も、ハーヴェスに行く。行って、いろんなものを見てみたいんだ」
そう言って、いつの間にか用意してあった荷物を背負う。
「父さんが俺の目の色だと言ってた、ハーヴェスの海を、見てみたいんだ」
そう言いながらダガーを腰に差そうとするが、慣れない動作に手間取る。

めいはくすっと笑い、その小さな手をエアルに差し出す。
そしてエアルは、反対側の手でめいの手をしっかりと握る。

エアルの父、エアシルフィルは小さく息をつき

「……ついたら、手紙を出しなさい。あと、一月に一度」

とだけ、息子に告げる。

「一緒に行けるなら百人力やわ! 改めてよろしくたのむで エアルッ!」
掴んだエアルの手を引き、そして二人は歩き出す。
遅れないように慌てて歩き出すエアル────

 

その二人の背中を見ながら父は小さく

「あの子もあんなに大きくなったんだな…ネーラ」

と、今は亡き、エアルの母にして、エアシルフィルの妻の名を口にするのだった。

 

 

 

と、めいとエアルの邂逅はこんな流れでした!こちらも、Discord上の互いのRPを集約していますが、台詞はほとんどこのままのものです。凄まじいRP力の塊……

ジュリアブレイザの邂逅と、めいエアルの邂逅。この2ペアでの導入から物語はスタートし、そして終わりを迎えます。これを纏めている現在、すでにCPは終わっているため、結末がどうなったのかを知っている身からすると、「めい&エアル」のコンビはものすごい変化が訪れていますね……とても感慨深い。

さて、次回はCPのまとめ的なものを書いていこうかなぁ……